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「70歳まで働ける企業」の実現に向けたシンポジウムを開催しました。
少子高齢化、人口・労働力の減少が進む日本社会。活力ある社会を構築するためには、就業意欲のある高齢者の経験・技能を積極的に生かす仕組みづくりが求められています。では、具体的にどのような考え方や取り組みが社会に必要とされているのでしょうか。12月8日に大阪で、1月19日に東京で開催された「70歳まで働ける企業」の実現に向けたシンポジウムでは企業の経営者や人事担当者、専門家が参加し、高齢者雇用の実情と問題点、今後の課題について話し合いました。その内容についてご紹介いたします。
大阪会場
働きたい人が働ける社会の環境整備を
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 藤村 博之氏
基調講演
生涯現役社会を考える −希望すれば70歳まで働ける条件の整備に向けて−
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授
法政大学キャリアセンター長(2007年4月〜)
京都大学博士(経済学)
藤村 博之[氏
これから超高齢化社会へと向かう日本にとって、高齢者雇用は重要課題です。ここでは企業、従業員、社会の抱える問題を5つの視点から述べていきます。
① 高齢者雇用の障害になっている要因は解決可能である
高齢者雇用には2つの問題があります。1つは経営者が持っている「高齢者は使いにくい」という偏見です。新しい技術に対応できない、動きが鈍い、コスト高など、デメリットばかりが目立ちます。実際は、高齢者が持っている「経験」という財産を生かせばメリットも大きいはずです。もう1つの問題は、働く人たちに「長く働き続けたい」と思ってもらうことです。この2つが解決しないと60歳以降の雇用は伸びません。幸いなことに日本では、2つ目の問題は解決しています。諸外国に比べ、高齢期になっても「働きたい」と考える国民がたくさんいます。これは日本社会の財産です。
② 生涯現役社会を実現するために必要な条件は教育訓練である
もちろん「働きたい」という気持ちプラス能力がなければニーズはありません。これまで企業は、50歳を超えた人に対し、あまりお金を使いませんでした。60歳定年の場合、あと10年なので改めて訓練する必要がないと考えていたからです。しかし、65〜70歳定年となると、あと15〜20年。高卒から50歳までで勤続32年ですから、まだその半分以上の期間を働くことになります。生涯現役であり続けるには、企業側と本人両方に何歳になっても能力を伸ばす努力が必要なのです。
③ 高齢者が生き生きと働ける企業は本当の強さを持った企業である
企業にはお客様がたくさんいます。そのお客様もだんだん高齢化していきますので、企業の中で働いている人たちも、ある一定割合は高齢者を雇っていたほうがプラスになります。そうしなければ高齢者の気持ちがわからない社員ばかりになり、顧客との距離が広がってしまいます。顧客の多様性に合わせていろいろな人材が働いている企業というのが、実は強い会社なのです。
④ 高齢者雇用を考えることは20歳代からの働き方を捉え直すこと
60歳を過ぎても生き生きと働いている方に話を伺いますと、50代でも、40代でもいい仕事をしています。さかのぼっていくと、結局は20歳代からの働き方の集大成が60代以降の働き方に現れ、「企業が必要とする人材」であり続けられるかに関わってきます。この話をすると、50歳を超えた方は「私はもう遅いのか」と思われがちですが、人間気づいたときから始めることが大事なのです。
⑤ 高齢者雇用を「ダイバシティ・マネジメント」として捉える
「ダイバシティ・マネジメント」とは、多様性の管理のことですが、高齢者は多様な従業員の一翼です。データによると、企業が高齢者を積極的に雇う理由は「技能やノウハウが重要だから」です。一方、新卒者を雇う理由は「組織の活性化に効果がある」です。雇う理由が違うのは、やってもらいたい仕事が異なるからで、どんな組織もある程度、年齢の幅があった方が活性化します。高齢者雇用を特別視し過ぎず、多様な従業員を雇っていることが企業の強さにつながるという観点から考えていただきたいと思います。
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パネルディスカッション
『70歳雇用』先駆者たちの声
「今一番困っていることは、優秀な高齢者が 辞めた時の補充が難しいこと。」
株式会社 りそな銀行常務執行役員
株式会社 りそなホールディングス人材サービス部長(兼務)
りそな人事サポート 株式会社取締役社長(兼務)
江副[ 弘隆[氏
最近、銀行の窓口に行かれた際、比較的中高年の従業員が増えていると、皆さん実感されているのではないでしょうか。銀行業務の中には、年齢に関係なくできる仕事があります。いわゆるお客様からの相談業務で、こうした仕事はむしろ、年齢が上のほうが向いている業務がたくさんあります。
例えば、住宅ローンの相談などはやはり若い人より、ある程度人生経験のある方のほうが相談しやすいし、説得力があります。同じ話をしても、お客様に理解いただけることは多いと思います。また、銀行の支店のロビーに従業員が立っているのを見たことがあるのではと思います。ご来店されたお客様のご用件をお伺いし、窓口にご案内する仕事ですが、これらの仕事は65歳を超えてもできる仕事です。
トータルでは、65歳以上の方は約200人近く働いています。そのうちの大体3分の2ぐらいの人は、毎日というよりは2日に1回ぐらい、週3日ぐらい働きたいという方です。残りの方は、フルという言い方をしていますけれど、毎日勤務しています。高齢者だからと先入観を持たず、それぞれの仕事が一番できる人を適材適所でうまく活用することが、雇用の原点だと考えています。
正直いうと、実は今一番困っていることは、優秀な高齢者が辞めた時の補充が難しいということです。経験の積み重ねで身につけてこられたスキルは、マニュアルなどでは到底補えません。
これから転職や再雇用を考えておられる方は、ぜひ、65歳を超えていても、これまでにやり遂げたことをきちんとお話しください。きっとそこに我々が必要としているものがあるのではないか、と期待しております。
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「無駄を省いた結果、高齢者の働ける 職域が増え、雇用も増えた。」
菱琵テクノ株式会社取締役総務部長
柴田[ 敬一[氏
弊社では改善活動が盛んで、「DDK(Daredemo Dekiru Ka)活動」と名付けています。この活動の中で、エルダー社員(60歳定年後に再雇用された社員)の方がキーマンとなって活動に参画しています。重筋作業を改善して誰でもできるような作業にしたり、また、若手に対して設備の故障を解析する先生役になったり、活動の潤滑油的な役割を果たしてもらっています。実例を上げますと、パイプの中に標線を2本入れる工程があるのですが、改善する前は定規をパイプの中に当てて線を書いて、パイプをひっくり返してまた書くという作業を行っていました。それを高齢者の方が、自分で開発した治具を使い、自動的に2本線が引ける改善を行ったんです。この方は、この改善で文部科学大臣表彰の創意工夫賞を受賞されました。複雑だった工程を単純化すると、誰でもできるようになります。エルダーの方でも、新人でも1時間か2時間教育すれば、その仕事がこなせるようになるわけです。誰でも助け合える強い職場ができると、エルダーの方も若手の方もモチベーションが上がります。高齢者の雇用のために何かしたというよりも、むしろ逆で、リストラしないために改善活動を一生懸命やって無駄を省いてきた結果、高齢者の方の働ける職域が増えていったということだと思います。だから何もしないのに、高齢者に対する制度だけで雇えるかといったら、なかなか今の厳しい状況では難しいと思います。弊社では実際に非常に役に立っていただいてますから、そうした重要な仕事をしていただいているエルダー社員の方を今後も雇用していくため、2005年の8月に「希望する人は全員65歳まで再雇用する」と就業規則を変えました。65歳以上の方も、会社のニーズと本人の健康状態、それらが合えば70歳まで再雇用しています。
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「高齢者の経験は会社の財産。元気なうちはいつまでも働いて欲しい。」
協同組合アルタ・ホープグループ理事兼人事部長
馬場[ 儀昭[氏
私どもの会社は、社の方針として「高齢者の経験は会社の財産である」「元気なうちは、いつまでも働いてもらおう」と考えております。
特にスーパーというのは、商売の中でも非常に難しく生鮮品を扱う上では、仕入れの個数管理など経験則が必要です。天気や季節によって商品のバリエーションが変わってきますし、そういった知識を若い社員たちに教えてもらっています。高齢者の方は粘り強く、短気ではないですから、若い社員が失敗しても失敗しても、辛抱強く何度も教えてもらえます。
私どものところでは、6年前に65歳までの継続雇用制度を導入しました。その後、65歳になる方がいらっしゃり「辞められては困る」という意見がたくさん出ました。そこで、70歳まで延長しようという声が役員会で上がったのです。
ちょうど国のほうでもそういう制度をつくりましょうという動きもあり、70歳まで引き上げました。その結果、本当に助かっていますし、現在では70歳を過ぎても本人と会社の合意のもと、働く意思があれば、継続してもらうことになっています。高齢者の方の経験、知恵、そういったものがうちの会社では非常に生かされています。
またスーパーの経験がなくても面接し、接客業に向いているヤル気のある方なら採用しています。最近でも、船員をやっておられた65歳の方、タクシーの運転手や大工などをしていた72歳の方を採用しました。お二人とも仕事の内容は、これまでの経験とは関係ないのですが、とても一所懸命で、頼りがいのある大先輩です。まだ若い会社ですので、継続雇用の方だけでは高齢者の方が足りません。非常に能力が高い高齢者の方が多いので「もったいない」精神でどんどん受け入れています。
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「ハイテクは若手、ハイタッチは高齢者。 適材適所で人材を生かす。」
有限会社湯元榊原館代表取締役
前田[ 幹弘[氏
うちの旅館では下は18歳から、上は79歳ぐらいまでが元気に働いてくれています。このくらい年齢が離れますと、まるで孫と祖父母のような関係で、年代が近い上司や先輩だと起こってしまうようなトラブルもほとんどありません。おじいちゃん、おばあちゃんに教わる姿勢と、孫に教える優しさが功を奏し、ここ最近は若者の定着率も向上しました。
実例をひとつ挙げますと、74歳の「湯守り」がおりまして、要するに、ボイラー兼風呂場を管理する者ですが、18歳の若手と組み合わせて働いてもらっています。毎日、夜中の2時から清掃を始めるのですが、「何であそこまでできるのや」と若者が驚くくらい元気で、仕事に誇りを持っています。そんな姿から若者は多くのことを学んでいるのです。
またホスピタリティ=おもてなしの部分でも、年配の従業員の方がたくさんの気づきがあります。例えば、お客様が薬をお持ちであれば、すぐに「お水にしますか、ぬるま湯にしますか、いつ頃お持ちいたしましょうか」と聞いてくれます。人間の経験値というのは、やはり大きいんだなと思います。
旅館にとって大切な安全衛生管理の面でも、気づきや発言が多いのも高齢者です。そうしたことを新人に教え込むには、ものすごい費用と労力がかかりますから、簡単に辞められると企業は大損害になってしまいます。
私どもの社員は誰一人、決して高齢者を「弱者」とは認識しておりません。人一倍元気で、かえって若手を追いたてて頑張って指導してくれているのが事実です。
とりたてて高齢者だ、若手だと考えているのでなく、会社の方針は適材適所。それぞれの得意分野にうまく配置するよう心掛けています。まさに「ハイテクは若手に、ハイタッチは高齢者に」です。
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東京会場
生涯現役社会実現へ向けた環境・条件整備を
基調講演
何をどうする「70歳雇用」
学習院大学経済学部経営学科 教授
今野[ 浩一郎[氏
少子・高齢化社会において、高齢者雇用は、今後さらに重要性を増していくと思われます。これに伴い、企業における制度・条件・環境の早急な整備がのぞまれます。そこで、今回は、働く意欲と能力のある高齢者が、70歳まで働ける企業内の雇用管理の条件整備と構築について、皆様にお話ししていきたいと思います。
企業と社会の現状と高齢者雇用の課題
高齢者雇用を考えた場合、企業の人事管理はどうあるべきか考えましょう。人事管理からすると、高齢者雇用は全体の一部分です。一部の領域だけを取り上げるのではなく、今後は、全体的な視点から新しい人事管理のやり方、「新型人事管理」を構築していく必要があります。そういう意味では、日本企業の人事管理は、いま構造再編を迫られています。
そもそも人事管理とは、雇う側のニーズと働く側のニーズを上手にマッチングさせて、有効に人材を活用し、利益を得るというものです。ですから、雇う側のニーズ(市場条件)や働く側のニーズが変われば、人事管理の仕組みもまた変化していきます。
現在のように、グローバル化した社会状況の中で、経営側は社員に高い付加価値を求めるようになりました。また、働く側のニーズも非常に多様化しています。これまでは、男性正社員=無制約社員が中心でしたが、次第に、子育てや健康、文化の違いなどの諸事情から、働くことに何らかの制約のある制約社員(女性、障害者、外国人、高齢者)がマジョリティーになってきました。これら制約社員の能力をどう活かすかが、企業活動の課題となっています。ことに少子・高齢化社会において、制約社員の大きなグループのひとつである、高齢者の雇用管理を確立しなければ、国際競争に勝ち残れません。そのための新型人事管理の構築が急がれているのです。
高齢者雇用の基本原則と新型人事管理の構築
人事管理の基本原則は、能力・仕事・報酬の均衡です。要するに、高い能力のある人には、難しい仕事を与え、報酬をたくさん支払うということ。この基本原則を、無差別に適用させるのが、新型人事管理構築の第一歩です。
前提条件として、雇用する側が、福祉的雇用ではなく、「高齢者活用が重要であり、不可避であること」を認識すること。さらに、高齢者は、若い社員のように教育して将来コストを回収する長期決済型の社員ではなく、いまの能力をいま活用する短期決済型の社員であることを理解すること。これらを踏まえた上で、正社員と高齢社員、それぞれの制度を両立させる「1国2制度」型の人事管理、それが新型人事管理の主なタイプです。「1国2制度」のポイントは、キャリアの観点から、現役社員は、訓練生(新人)、一人前プロ(中堅)、上級プロ(管理職)、高齢社員は、現役と同等の働きをするプロと補助職に分けます。そこに、勤務体制や役割などを含めた働き方、雇用形態・処遇・賃金制度といった雇用管理条件を設定します。この場合、高齢社員はプロか補助職かを選択することが可能です。この制度を定着させるには社員とコミュニケーションを深め、理解を求めていくことが非常に重要です。
私どもは現在、高齢者雇用を進める企業へ向けた、「企業の高齢者雇用力診断ツール」の開発を進めています。これは、自社の人事管理の強みと弱みを理解し、高齢者雇用の促進に向けて、新型人事管理構築を目指すものです。完成後は、このようなツールが皆様のお役に立てば幸いです。
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パネルディスカッション
『70歳雇用』のこれからを展望する
安心して働ける環境・制度作りが急務
株式会社シーエックスカーゴ 取締役管理本部長
青木[ 泰憲[氏
当社は、生活協同組合の物流、倉庫運送業をしております。作業内容は、主として倉庫内での商品の仕分けです。人の手作業に頼るところが多く、倉庫作業という地味な面もあり、必然的に高齢者に頼らざるを得なくなり、結果的に、全社員のうち10分の1が65歳以上という状況になっています。
当社は、障害者雇用については、意識的に取り組んできておりますが、高齢者については、パート社員の雇用不足から、実態として、多くの方が働いているというのが実情です。制度としてはこれから確立していく段階にあります。
作業環境においては、高齢者が増えるにつれ、倉庫内や階段での高齢者特有のつまづきによる転倒事故などにも注意が必要になってきています。今後は、高齢者が心身ともに安心して働ける環境や制度づくりが急務だと考えています。
雇用・評価基準では、高齢者だからという区切りはありませんが、高齢者の場合、健康が鍵になるので、65歳以上の方は健康診断をもとに、通常1年契約のところを半年契約として面接の機会を持ち、状況を判断するようにしました。
高齢化が加速する中、労働集約型の当社としては、機械化・システム化も進めてまいりますが、労働力確保は重要な課題となります。その中で、高齢者は不可欠な人材となります。ただ、高齢者だけを突出して考えるのではなく、女性、障害者、外国人などを含めた労働力全体の中での有効活用を考えていきたいと思います。
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企業内に設立した人材派遣会社を活用
東洋エンジニアリング株式会社 前人事部長
遠藤[ 勝己[氏
東洋エンジニアリングでは、96年から60歳以上の継続雇用の仕組みを作ろうと、様々な試行錯誤を重ねてきました。一番のポイントは、企業圏内に労働市場を作り、当社のグループ内に人材派遣会社を設立したこと。定年後の雇用をビジネスとして、本人の市場価値とニーズを調整するものです。これがうまくいきました。06年には、それまでの継続雇用制度を元に「パワフルキャリアオプション制度」を発足。60歳定年後、①現役と同じ責任、給与水準で働く場合、②仕事の負荷を軽減し、60歳時点の70%の給与で働く場合、③長期の海外勤務をしない場合、④関連会社に行く場合、といった4つの選択コースによる65歳までの継続雇用を実施しています。さらに65歳以上の希望者は前述の人材派遣会社に登録していただく仕組みです。
当社は、国内外でプラントビジネスを展開しており、社員の約8割がエンジニアです。専門知識を持ち、海外経験があり、語学も堪能、OA機器の操作もできる。60歳時点で、市場価値が極めて高いという特徴があります。65歳以上でも事業本部が手放さない方がいて、この方々の特徴は、明るく、コミュニケーション能力が高いこと。こういう方は、年下の上司のもと、良きアドバイザーとしても慕われています。市場価値を決めるのは、本人の責任です。高齢者雇用に関しては、会社側の仕組みづくりと共に、若い頃からの本人の自覚、努力も大切だと思います。
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暦年齢を意識せず業務状況での評価を
阿さ川製菓株式会社 代表取締役
桐村[ 幸雄[氏
当社は、現在、従業員数が270名前後。男女比率では女性が7割を占め、60歳以上の高齢者の割合は20%を超えています。
もともと和菓子職人は経験が非常に大切です。雇う側も、簡単にやめてもらっては困るという意識もあり、06年に就業規則を改定し、60歳定年後も働きたい方は、65歳まで1年ごとの契約で再雇用しています。65歳以降も、健康と業務に支障がなく、互いのニーズが合致すれば、99歳まで再雇用する規定です。また、若年社員と高齢社員でペアを組み、若年社員の育成指導者として配置する「ペア就労」を導入しています。
現在、70歳以上の方が4名おります。短時間勤務でどら焼きを焼く指導をしている78歳。和菓子フロアで22歳の若手とペアを組み、他の社員とほぼ同じ仕事をしている74歳。72歳の名物おじさんは、和菓子の実演販売をしており、毎日、生き生きと働いています。74歳の女性は、若い人達と一緒に、和菓子の製造ラインで作業をしています。また、課長職で60歳定年を迎え、そのまま嘱託課長という形で、一歩引いたところから全体を統轄する役割を果たしてもらっている方もいます。
私は、いわゆる暦年齢は意識せず、職務能力でその人自身を評価してあげるべきだと思っています。それを生かすためにも、高齢になった方の健康管理が非常に重要です。どういう仕組みで高齢社員の健康管理に気を配っていくかが今後の課題です。
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柔軟に働ける制度の条件整備が必要
協同組合足利給食センター 理事長
保々[ 賀右[氏
昨年、「高年齢者雇用開発コンテスト」で厚生労働大臣優秀賞を受賞しました。07年に70歳定年制を導入しましたが、これが受賞につながったのかと思います。現在、全社員244名のうち60歳以上の社員が20%を超え、70歳以上は4名います。ハローワークなどを通して入社した社員です。
70歳定年制度導入に先駆け、04年に食品安全確保の衛生管理手法「ハセップシステム」を組み込んだ工場を新築。新工場では特にバリアフリーを意識しました。室温を21度に保ち、床に水がたまらないドライシステムを採用し、スリップによる転倒を防ぐなど、高齢者にとって働きやすい環境だと思います。また、柔軟な勤務体制を整備し、高齢従業員の体力や生活ニーズに合わせた勤務を可能にしたほか、業務をマニュアル化し、採用された中高年齢従業員も安心して仕事ができるようにしています。
70歳過ぎの方からは、「仕事をやらせてもらってありがたい」と異口同音にいわれ、健康管理や様々な人とのコミュニケーションができるなどのメリットも挙げられました。
社会の高齢化が加速する中、生涯現役に近いような形で働くことが、長生きの秘訣だと感じます。企業側としては、高齢者が働きやすい職場環境を作ること、労働時間や賃金体系など、細かな基準を構築することばかりではなく、柔軟に働ける制度を用意するなど、お互いプラスになるための条件整備が必要だと思います。
【お問い合わせ】独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 情報研究部 TEL03-5400-1656
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