2015年3月号
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20働く広場 2015.3 この座談会は、2014(平成26)年12月5日(金)、有楽町マリオン朝日ホールスクエアで開催された『働く広場』公開座談会の採録です。 松矢 この公開座談会では、「発達障害者の雇用を促進するために」をテーマとして、一般高校や大学を卒業した発達障害者に対する支援の在り方について考えたいと思います。 当テーマの前提として、2015年4月、発達障害者支援法※が施行されて満10年となります。そこでいま、3つの大きな動向が見られます。 1つめは、発達障害者支援法が制定され、地域障害者職業センターで就業支援が進められ、高校や大学を卒業した発達障害者の就職の成功事例が増えてきていることです。2つめは、学校教育法の一部改正によって、特殊教育から特別支援教育に変わり、2007年度から幼稚園・小学校・中学校・高等学校で、指名された特別支援教育コーディネーターが支援を始めていることです。3つめは、いよいよ大学においても発達障害者の支援が始まったことです。2012年度、文部科学省の中に発達障害者を含む障害のある学生の就業場面における作業体験を通して、職業能力や障害特性を把握・整理し、支援の方向性を考えていきます。 ③の「職業準備支援」は基本的な労働習慣の体得、職業に関する知識の習得などを目的としています。発達障害のある方には、「発達障害者就労支援カリキュラム」に従って、標準4~8週間程度、各種作業支援や講習トレーニングを受けていただきます。 ④の「ジョブコーチ支援」は地域障害者職業センターの配置型ジョブコーチ、もしくは認定を受けた社会福祉法人などに配属している第1号ジョブコーチが、障害者が働いている事業所に出向き、障害者と事業主の双方に対して職場定着のための支援を行うものです。障害者には作業指導や人間関係構築を、事業主には雇用管理や指導ノウハウに関する支援を行います。標準2~4カ月くらいの期間のなかで、計画的に支援頻度を減らしていき、最終的に、ジョブコーチがいなくても周囲の従業員がサポートできる体制を作っていくのが特徴です。急増する発達障害者の支援利用佐藤 発達障害者のセンター利用はここ5年で大幅に増えています。2009年度から2013年度までの地域障害者職業センター全体の利用状況は、5年間で2万8千人から3万1千人と約1割増加していますが、とりわけ発達障害者の利用状況は2倍以上の増加です。全体に占める割合も、9・9パーセントから19・3パーセントと大きな伸びを示しています。その約8割が一般の高校や大学の卒業者です。この学歴状況の傾向は、2009年度から2013年度で大きく変わりませ座公談開会平成26年度内閣府主催 障害者週間連続セミナー発達障害者支援法制定後の10年~一般高校、大学の卒業者等に対する支援の在り方について~支援に関する検討会が設けられ、その一次報告書が出ています。 このような状況をふまえて、本日は各分野を代表するパネリストの方々と指定討論者から提言をいただき、その後、質疑応答という流れで進めたいと思います。就労支援機関の支援内容松矢 それではまず、愛知障害者職業センター所長の佐藤伸司さんより、発達障害者の就労支援を行う立場から提言をお願いします。佐藤 全国各都道府県に設置されている地域障害者職業センターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営している施設です。一般企業への就職をめざす「雇用」を最終ゴールとして支援しています。「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、ハローワークや関係機関と密接な連携を取りながら、職業リハビリテーションサービスを提供しています。 具体的な支援対象者は、障害のある方、障害のある方を雇用している、あるいはしようとしている事業主、地域の就労移行支援事業所等関係機関です。 職業リハビリテーションサービスの内容は、①職業相談・評価、②職業リハビリテーション計画の策定、③職業準備支援、④ジョブコーチ支援、⑤職場復帰支援等、就職の準備段階から職場定着まで一貫した支援です。 ①「職業相談・評価」と②「職業リハビリテーション計画の策定」は基幹サービスの1つで、障害のある方自身に何ができて、どのような支援が必要か、本人と支援者が一緒に考えるための取組みです。関係機関での支援状況をふまえ、面接や各種検査、模擬的就労発達障害者の雇用を促進するために松矢勝宏さん※自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などを発達障害と認定して援助等を定めた法律(平成17年4月1日施行)

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