2015年3月号
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24働く広場 2015.3め、なんとか結果を出そうとハローワークの相談コーナーに通いつめましたが、採用はなかなか進みませんでした。 結果の出ない日が続きましたが、2009年頃に、「障害のある方でも、店舗の戦力になることを証明できれば良い」という「店舗が採用したがる障害者」という発想で考えることにしました。これを実現するために、「店舗の課題解決に障害者雇用が利用できないか」と考え、店舗の課題業務を洗い出しました。そして、これらの課題業務を、「売上げへの関係性」と「緊急性」の2軸で一覧表を作成し、障害者にやってもらいたい業務を可視化しました。この一覧表を利用して店舗へ、「この業務を障害者の方にやっていただければ、今までこの業務に手を取られていた店舗スタッフに時間ができて販売や店作りに専念できるのではないか」と説明し、実際に職場実習を実施した結果、障害者が店舗の戦力になることが証明できました。このような試行錯誤を繰り返して、「販売補助スタッフ」という職種名で障害者雇用のための業務を創出することができました。 販売補助スタッフの仕事は比較的簡単な作業ですが、バックルームだけでなく店舗内でも作業を行うため、お客さまから声をかけられることがあり、その際は販売スタッフへ「取次ぎ」をする必要があるので、少し難しい業務になります。少し難しいからこそ、これらの業務を通して、「自分でも仕事がやれる」という体験を通して自分に自信を持ってほしいと思っています。 採用は、各都道府県の障害者職業センターから候補者を紹介していただき、面談・職場実習を経て採否を決定する流れで行っています。面談の着目点は、障害別に確認内容が異なるものと、障害に関係なく確認するものがあると考えています。発達障害者の場合は、「その方の働く意味」、「障害特性」、「病気に気づいた時期」などを確認しながら、私なりにその方がどういう方なのか分析しています。 面談で確認した内容はすべて店舗にフィードバックしています。実習者の強み・弱みと起こりそうな問題・そのフォロー方法を店長・支援者と共有することで、店長も安心して職場実習に取り組めるような配慮もしています。採用することがゴールではない岡田 直近の2013年度障害者雇用率は、法定雇用率まであと一歩のところまで進みました。 退職について、直近2年間の状況をみると発達障害者・知的障害者に1年未満で辞めている方が多いという結果が出ました。退職に至った原因から、雇用継続のための配慮として、①体調管理・ストレスコントロール、②会話をする機会の意識的創出、③働きやすさ=質問しやすさの演出、が必要ではないかと考え、いろいろと工夫をしているところです。 障害者雇用で一番大事なことは、「本人が高いパフォーマンスを発揮しながら働き続ける」ことだと思います。つまり採用することだけがゴールではないのです。そのために、採用後も店長・採用者・支援者に直接会いに行ったり、間接的に電話をかけたりすることで定期的に話を聞き、現在発生している問題・今後発生しそうな問題を確認し対応を続けることが重要だと考えています。働いてくださる障害者にとって働きやすい環境を作り、受入側の店舗スタッフにも無理がないように調整していくことに終わりはありません。今後もトライ&エラーを繰り返し、より良い方法を模索していきたいと思います。松矢 いま、井戸川さんが安心して働ける職場は、岡田さんが学びながら改革してこられたのですね。これから障害者の雇用を進める企業にとって、非常に参考となるお話でした。支援者が当事者へ聞きたいこと松矢 さて、先ほど井戸川さんがお話しくださった当事者の困りごとについて、支援する側の西村さんより質問があるようです。西村 はい。大学の支援者の立場から、当事者の井戸川さんに3つほど質問があります。 まず1つめですが、井戸川さんは学生時代、大学に支援者がいないなか、実習などで苦労することはありませんでしたか。井戸川 もちろん苦労はありました。一番つらかったのは病院実習です。毎日担当の先生が替わるのですが、人の顔や名前を覚えるのが苦手だったので、わからなくなってしまう座公談開会佐藤伸司さん発言する参加者のみなさん

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