2015-04
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13働く広場 2015.4す。これらは、弱視者に限らず、だれもが実践できること。「だから教員も指導しやすいし、支援者の精神的バリアが取り除かれる」と、氏間先生は語ります。 こうしたIT活用は、いま就労現場でも期待が高まっています。 「むしろ、教育現場より就労現場でのほうが取り入れやすい。学生のうちは視覚補助具の必要性が多岐にわたりますが、社会人は仕事内容によって、その課題が絞られるからです」 また近年、外資系企業を中心に、従業員が私物の情報端末を持ち込んで業務をする「BYOD(Bring Your Own Device)」が検討されています。 「今後、多くの会社に浸透していけば、弱視者が文字のサイズや色、明るさなどをカスタマイズし、自分に最適化した端末が使用できるようになると思います」 弱視者の就労で、氏間先生が最も課題として感じていること。それは、弱視者の見えない程度が、周囲にわかりにくいことだといいます。 「全盲の場合、周囲の人も、目を閉じればある程度、不便さが理解できます。弱視の場合、わかりにくく、さまざまな誤解が生まれてしまうのです」 その課題を解決するため、氏間先生は、見える範囲を測定するアプリ「日用視野測定ツール」を開発。「弱視者を雇用する会社では、こうしたアプリを使用していただきたい。採用した弱視者がどこまで見えて、どこから見えないのか、まずは理解してほしい」という願いを込め、開発しました。 また、その一方で弱視者に対しては、社会に通用するITスキルを身につけておくことを期待します。 「それは、21世紀型スキルの一つとして、障害のあるなしにかかわらず社会から求められているスキル。社会に出る前から、ほかの人以上にできるようになることを目指してほしい。それが、社会参加につながります。そして、雇用側には、そういう能力を持つ障害者が増える未来を見すえ、計画的に受け入れの準備を行ってほしいと思います」 ITを積極的に活用し、使いこなすことで障害者の力が最大限に発揮でき、活躍の可能性が広がる。それは社会にとってIT進化の大きな利益です。このチャンスを最大限に生かすために、障害当事者、事業主、双方の努力が最も重要だといえます。障害当事者、事業主、双方の努力があってこそ生きるITiPadで役立つ! 無料アプリ弱視者の見える範囲・程度がわかる「日用視野測定ツール」 全盲者と異なり、その「見えにくさ」が周囲に理解されにくい弱視者。このアプリを使えば、何センチメートルの距離で、どのくらいの文字サイズが見えるのか、を測定できます。本人だけでなく、周囲の人にもわかりやすい測定結果画面。職場では、資料作成や座席配置の際などに生かされます。氏間研究室ホームページhttp://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/index_j.html新しい仕組みを導入するときに役立つSAMRモデルiPhoneも活用。インテリジェンスなアプリ「スキャナブル」で、レシートを保存。弱視者の生活を支えるアプリが充実しているiPadで使用コラムS(Substitution)代替視覚補助具の機能の代替としてITを使用する例 視野画像を大きく映し出すM(Modi cation)ITの機能を生かし、仕事や学習方法を修正する例 撮影した画像を他者と共有するR(Rede nition)ITならではの学習方法や仕事内容へと、活動内容を改革する例 仕事や学習に必要な作業を自分で判断するA(Augmentation)ITの機能を生かし、代替した機能を増強する例 視野画像を撮影して記録する「スタイラスペン」というアイテムと、「グッドノーツ」というアプリを使用すれば、iPadに取り込んだ画像に直接書き込める増強修正変革

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