働く広場2015年9月号
30/36

28働く広場 2015.9研レ究ポ開ー発トこれからの事業主支援は、企業や障害者の状況の変化に応じた、より広範な知識・技術をもとに、企業の支援ニーズの高まりに適切に対応していくことが求められています。この研究では、文献調査、専門家による寄稿、支援機関などへのヒアリング、事業主へのアンケート調査によって、「障害者雇用に係る事業主支援の標準的な実施方法」について調査しました。職場実習が多様なニーズを充たす事業主支援のニーズについて文献などを調べたところでは、ニーズが多岐にわたっていることや、障害者の障害特性や配慮すべき点について企業に正しく伝える必要性の指摘が最も多いという結果でした。特に精神障害者や発達障害者などの場合は、障害が目に見えない、個人差が大きい、やってみなければわからないことが多いといった特徴があり、障害特性や配慮点についての情報支援の重要性が高くなります。こうしたニーズに直接応える方法として、職場実習が見直され積極的に活用されている事例が増えています(図1)。実際の職場で働いてみれば、障害特性や能力・適性を具体的に把握できます。また、どのような配慮が必要か、通勤はどういう手段が現実的か、その仕事が合っているか、本人がそこで働きたいかどうかといった基本的な事項を総合的に確認でき、事業主にとっては、採用後にどのような状況となるか、その見通しがつくことが大きなメリットと考えられます。すなわち、職場実習は、障害者に仕事や職場に慣れてもらう障害者支援であるだけ「障害者雇用に係る事業主支援の標準的な実施方法に関する研究」障害者職業総合センター 事業主支援部門でなく、企業のニーズを広範囲にカバーする事業主支援でもあるというわけです。職場実習は、どの地域でも、すぐに始められて、すぐ効果が現れる優れた方法だと言えます。例えば、長野県の「OJTによる障がい者の就労促進事業」はジョブコーチ研修を受けた人をOJT推進員として職場実習の場面で活躍してもらおうという制度で、人口も事業所も少ない地域事情を考え合わせると、驚異的といってよい実績につながっています。企業と支援機関の連動職場実習は、企業と支援機関との間の常識や感覚の違いをつまびらかにし、支援機関の側でのトレーニングのあり方を見直すことにもつながります。企業の支援機関に対するニーズとして、企業の戦力になることを想定した、企業のレベルに合う教育訓練を実施することが挙げられていました。特に、コミュニケーションや企業人としてのルールなどの理解に難のある人が増えているとの指摘もあり、そうした課題について、企業からはできる限り入社する前に支援機関でしっかりトレーニングしておいて欲しいとの声があります。今後は、地域において、企業と支援機関とが情報交換をより密にして、企業で働こうとする障害者の支援機関から企業への移行がよりスムーズになるよう、効果的に連動させていく努力が求められます。図1 企業からみた職場実習の効用障害特性・能力および配慮事項などを把握できる雇用・就職に向けた意思を確認できる雇用後の状況について見通しがつく支援機関の教育訓練内容が企業の実情と合ったものとなる職 場 実 習

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です