働く広場2015年9月号
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3働く広場 2015.9でつくった味噌や、障害者施設でつくられた豆腐のほうが、明らかにおいしいでしょう。そういうものを復活させなければいけない。障害者施設だからと買いたたかれていたのが、「丁寧に手づくりするもののほうがおいしい」と逆転の発想になって、追い風が吹いているのです。価格は高くても、ちゃんと買ってくれるお客さんがいるのです。――これぞという商品が開発できたら、株式会社などの起業もいいですね。鳥巣 製造者名に「〇〇社会福祉法人」と書いてありますが、できれば「あしたば園」とか一般企業のような名称にしたらいいと思います。日本の食品メーカーの製造現場には、中国やベトナムの人が働いていますが、ベトナムの人がつくったとは書いていません。 強調したいのは、ビジネスとして考える時代になってきたということです。スーパーの力が強すぎるために、大手食品メーカーの製品は原価を削り、品質が劣化していく場合があります。そのようななかで、手間ひまかけて大切に生産する仕組みをつくっていけば、勝てるのです。豆腐が代表的なものです。いいものをつくっているのですから、障害者施設がつくったと、ことさら出す必要はないと思います。――障害者施設と地域との連携は広がっていきそうですか。鳥巣 食と農に20年たずさわっていますが、20年前は地方にまだ人がいっぱいいて、50~60代のお母さんたちがセミナーにきていました。最近はつくる人が高齢化しすぎて、つくれなくなっています。これからの地域の産業を担う主役は、元気な高齢者と障害者施設の人、あとは都会から志を持ってIターン・Uターンした人たちだと思います。 障害者施設の賃金を少しずつ上げていく手立てとしては、「地域の特産品づくり」はいいと思います。そのためには、指導員が加工の技術を身につけて、障害者の人たちに教えていく。目的をしっかり持たせ、つくる喜び、売れる喜びを教える。自ら食べて、おいしいと実感する。働いている人たちが誇りを持って食品をつくれるような指導が大事だと思います。 とくに知的障害者は指示されたとおりに、作業の手抜きをしないとよく聞きます。加工品はレシピに、「10回かき回す」とあればレシピ通りに、きちんと10回かき回したほうがおいしいものができる。その能力を生かして、エクセレントカンパニーのつもりでやればいい。 最近は、食品産業が追い風です。円安、世界的な原料高、現地の人件費の高騰、安全性などで、消費者の国内回帰があります。国内農産物がもてはやされ、高くても売れる加工食品が生まれているなかで、社会福祉法人にもチャンスがあるのです。障害者施設や福祉施設の方がセミナーに来られていますが、施設の理事長さんたちは頭を切り替えたほうがいいと思います。――コンサルティングではどんなことを強調されているのですか。鳥巣 1番目は、「食のトレンドを読んでごらん。デパ地下へいってごらん」といいます。漬物の市場が3割落ちた分、生野菜をサラダで食べたり、あるいはピクルスで食べています。サラダだとドレッシングが売れます。地方の人も、食のトレンドをきちんと読むことが大事です。それと、自分の食べたいもの、買いたいものをつくること。ターゲットは自分です。最近の豆腐はおいしくないと思ったら、おいしい豆腐をつくろうと商品を開発していけばいいのです。 2番目は、配合率、衛生管理、作業手順など、加工食品メーカーとして守るべきことをきちんと守る。3番目は、農産物をつくるときの自分の人件費もきちんと入れて、原価計算をして発売することです。 いまはターゲットの時代ではなく、いかにファンをつくっていくかの時代です。買ってくださるお客さんと常にコミュニケーションして、不特定多数ではなく、特定のファンに売るという感覚です。「あそこのものはおいしい」とファンが応援してくれるように、お客さんを確実に増やしていくことが成功への道ではないでしょうか。それは社会福祉法人にも共通することです。――最後にお好きな言葉をお願いします。鳥巣 座右の銘は、「精進と覚悟」です。手を抜かないで日々努力する。目先を追わないこと。自分の力を信じることが大事ですね。――ありがとうございました。トレンドを読み、ファンを増やす特産品づくりで賃金アップ

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