働く広場2017年2月号
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21働く広場 2017.2ていた観葉植物のレンタルである。この事業は決して大きくはないが、現在も確実な売上げのベースとなり、毎日数人が担当して、年間300万円の売り上げになっている。次に、赤字続きの町営「山やま出いだし憩いこいの里温泉」の経営を指定管理者により手掛けた。その温泉で働いていた人たちの再雇用と障害者雇用がコラボし、一緒に働くこととなったのである。「障害者の働く場づくり」で脚光を浴びた「山出憩いの里温泉」は、当初は観光客をターゲットに全国に営業をかけ、「御荘診療所」所長であり、「NPO法人 ハートinハートなんぐん市場」の理事である長野敏宏先生自らが営業マンとなって集客をしていた。それなりに客は集まり、売上げも町営時代より大幅に伸びた。しても退院することができなかった患者さんは、新しくできたグループホームの個室に住まい、「給食」ではなく「わが家の食事」を日々いただきながら、地域で暮らすことを目ざしている。地域で暮らす患者さんたちは、訪問看護ステーションと、新しくできた「御荘診療所」が支えている。病院を閉鎖できた背景には、さまざまな地域活動に参画し、そこから精神医療をはじめとする専門家が、地域振興を地域住民とともに模索し、地域にあるさまざまな分野の人や事業とのつながりを広げていったからにほかならない。前述したように、人口減少とともに、地域の高齢化は足音もなく進み、農業はもとより、漁業、商業と衰退が進んでいった。いくつかの小さな事業が、次々と廃業の憂き目にあることを目まの当あたりにするようになった。2005年に設立された「NPO法人 ハートinハートなんぐん市場」は、「仕事を作り出すだけでなく、町のなかで住民がやっていた担い手のない小さな仕事、残したい仕事を受け継ぐ」をモットーに、地域の事業と一緒に、そこで働いていた人たちをスタッフとして雇用。まさに共働の仕組みをつくりだしたのだ。図1がその基盤となった地域活動と理念である。最初に手掛けたのは、廃業しようとし21今回の訪問先は、宇う和わ海かいに面した風ふう光こう明めい媚びな愛媛県南宇和郡愛あい南なん町ちょう。愛媛県松山市から車で約2時間の、海に面し山々に囲まれた農山村地域である。人口は約2万人。毎年500人前後の人口が減少し、高齢化率は約35%強である。保健所は統廃合され、現在は医療圏域と生活圏域がほぼ一致しており、全国の中山間地域と同じような状況にある。2016(平成28)年6月、この町の精神科病院「御み荘しょう病院」が閉鎖され、「御み荘しょう診療所」が誕生した。1962(昭和37)年に開業した「御荘病院」は、愛南町の唯一の精神科病院で、宇和地域の精神保健医療を担っていた。ピーク時には159床あった病院は、53年の歴史を閉じた。閉鎖時点でどうし① 愛南町の一次産業をベースとした「生なり業わい」を守り・創り続ける② 多様な人が、多様な価値観を認め合い、多様な生き方を選択できる地域へ③ あらゆる人が、なくてはならない「小さな担い手」。「共に生きる」から次のステージへPOINTPOINTPOINT精神科病院を閉鎖して診療所へさまざまな立場の住民が、町の生業を守る、創る入院病棟をなくし、御荘病院から「御荘診療所」に改革を進める所長の長野敏宏先生図1

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