働く広場2017年2月号
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28働く広場 2017.2研レ究ポ開ー発ト「精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方策に関する研究」 1 はじめに 障害者職業総合センターでは、2013(平成25)年度から3年計画で「精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方策に関する研究」に取り組んできました。本研究は、①調査研究委員会の設置、②地域障害者職業センターのリワーク支援に関するアンケート調査、③障害者雇用の課題などに関する企業アンケート調査、④企業、当事者、支援機関、専門家などへのヒアリング調査の4つの方法で実施しました。特に、企業アンケート調査では、企業における精神障害者雇用とメンタルヘルス不調休職者の復職支援の関係を切り口とした分析をし、精神障害者の雇用促進方策について検討しました。本稿においては、企業アンケート調査結果の分析によって判明した6つの企業タイプと、企業ヒアリングなどを通じて把握した企業タイプごとの対応例を中心に報告します。 2 企業アンケート調査の結果から 精神障害者雇用における企業側の課題などを把握するため、規模と業種によって抽出した常用労働者50人以上の企業6991社に調査票を送付したところ、2099社から有効回答があり(有効回収率30・0%)、以下のような集計結果を得ました。まず、企業における精神障害者の雇用経験を聞いたところ、「これまで雇用したことがない」企業が59・3%と最も割合が多く、「現在雇用している」30・3%、「過去に雇用していた」9・0%と続きました。今後の障害者採用計画については、「今後新たに障害者を採用する方針」38・5%、「障害者に欠員が出た場合は採用する方針」21・2%と肯定的な回答が約6割となりました。これらの肯定的回答企業のなかでは、「できれば身体障害者を中心としたい」という回答が58・3%と最も多く、「精神障害者を中心としたい」は1・7%と少ないものとなりましたが、「障害の種類は原則として問わない」23・0%および「身体障害者と精神障害者を中心としたい」とした企業1・0%を合わせると、障害者採用に肯定的な企業のうち精神障害者の採用に肯定的と考えられる企業は4分の1障害者職業総合センター研究部門となりました。一方、メンタルヘルス不調により1カ月以上継続して仕事を休んだ社員の職場復帰の状況についてたずねたところ、メンタルヘルス不調による休職からの復帰者がいる企業の割合は6割強であることがわかりました。さらに、復帰者のいる企業を対象として、休職者の復帰後の状況と企業による職場復帰への配慮として考えられる休職可能期間の上限の関係を調べると、表1の通り、復帰者のほとんどが安定的に働いていないとされる④の企業では、休職可能期間の上限が1年を超えるところは5割を占めるにとどまりますが、それ以外の①~③の企業では休職可能期間の上限が1年を超えるところが6~7割を占め、休職者が安定的に復帰できるかどうかは、企業側の配慮実施状況と関係していることがわかりました。また、さらに詳細な分析では、休職者の復帰安定度が高い企業では、精神障害者雇用時の配慮実施に積極的であることが判明しています。このように、企表1 職場復帰したメンタルヘルス不調による休職者(休職1カ月以上)がいる企業の状況職場復帰者がいる企業における復帰後の状況職場復帰者がいる(1,332社)①復帰者のほとんどが 安定的に働いている②復帰者の半分以上は 安定的に働いている③復帰して安定的に働いて いる者は一部④復帰者のほとんどが 安定的に働いていないうち休職可能期間1年超の企業割合100.0%35.2%28.6%22.4%13.8%60.9%60.1%68.2%58.7%51.1%

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