働く広場2017年10月号
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21働く広場 2017.10山口大学は、長州藩士・上田鳳ほう陽ようによって創設された私塾「山口講堂」を源流として、2015(平成27)年に創基200周年を迎えた。人文学部、教育学部、経済学部、理学部、農学部など7学部がある山口市・吉田キャンパスのほか、宇部市に小串キャンパス(医学部)と常盤キャンパス(工学部)がある。約22万坪という広大な吉田キャンパス内で週3回(月・水・金)、障害のあるスタッフたちが総合図書館に届けられた研究図書を教員に配達する「BOOK便」。山口大学のキャラクター「ヤマミィ」入りのポロシャツを着て、書籍が入ったコンテナを積んだ台車を押して各学部を回る。今回は、2012年から始まったBOOK便の試みを中心にご紹介する。山口大学が障害者雇用に本格的に取り組み始めたのは、2010年のことだった。総務部人事課長の梅うめ田だ則のり好よしさんに当時のいきさつをお聞きした。「それまでも附属の特別支援学校の卒業生などを雇用していましたが、雇用率に達していませんでしたので、地元のハローワークの指導を受け、2010年度に総務部人事課に『業務支援室』を立ち上げました。BOOK便は障害者雇用を全学的にアピールするチャンスだと考えて引き受けましたが、それ以降各学部からの依頼が入るようになり、現在は縁石清掃、BOOK便、花壇づくり、事務補助作業などを行っています。本学は障害者雇用に関して進んでいると思いますし、支援体制なども充実していると思っています。暑いときの縁石清掃や花壇の整備はたいへんだと思いますが、キャンパスがきれいになっています」業務支援室の設立時、障害者教育を専門とする同大学教育学部教授の松田信夫さんのアドバイスを受けながら、業務内容や支援体制を整えた。業務はまず、毎年秋から冬にかけての膨大な量の落ち葉や、雨のあとに堆積する土砂の処理などの構内清掃を行うことを考えた。また、障害のある人たちが安定して働き続けられるようにと、仕事面・精神面での適切なサポートの経験がある2人を「支援員」として雇用した。業務支援室の設立にあたり、山口大学で主にネットワーク構築の業務にたずさわっていた、聴覚に障害がある吉本和弘さんが異動してきた。業務全般の指導をする技術指導員としての役割もにない、現在は事務も担当している。吉本さんは、知的障害の人たちと接するのは初めてで、いっしょに働くことに最初は戸惑ったという。「耳が聞こえにくいということもあり、『障害者の心情がわかるだろうからサポートしてください』と当時の人事課の担当者からいわれましたが、それぞれの個性にどう対応したらいいか、わかりませんでした。そのとき、支援員に『わからなくてもいい。スタッフと一緒に働いてください。一緒に働くと、その人の個性や特性がわかってきます。できることとできないことを見つけて、できることがあったらほめてください。できないことがあ業務支援室を設立。支援員が礎いしずえを築く総務部人事課長の梅田則好さん業務支援室の吉本和弘さん①支援員、障害者からなる「業務支援室」を設置。「BOOK便」など、大学ならではの業務を切り出し全学的にアピール②働くルール、社会のルール、マナーを教え、十分な訓練をする③ 指導者が働く姿を間近で見せることが、仕事の教え方の基本POINTPOINTPOINT

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