働く広場2017年10月号
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29働く広場 2017.10査よりも曖あい昧まい度の高い刺激を呈示しています。「快あるいは不快にかたよって感情を読み取る傾向」が認められた場合、その背景にどのような要因があるかは、検査を受けた人から過去の経験やストレス、対人不安などをていねいに聞き取った上で推測することが必要になります。ただ、このような感情の読み取りにかたよりがある可能性を自覚するだけでも、普段のコミュケーションのあり方を見つめ直すきっかけになることが期待できます。本研究の報告書には、検査を発達障害のある人に試行し、自己理解に活用した事例などが掲載されていますので、検査の活用を検討されている方はぜひご一読ください。http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku136.html示しています。各感情につき、8問ずつ出題されるため、この例では、「喜び」が正解となる問題について8問中6問正解していることがわかります。ところが、残る2問については「嫌悪」というネガティブな感情を読み取っています。また、「悲しみ」が正解になる問題については、8問中3問において「嫌悪」という別のネガティブな感情を読み取っていることがわかります。このように、4感情評定版では、単にどのくらい正確に感情を読み取れるかを評価するだけでなく、どのような読み誤りをしているかを分析することで、その人のコミュニケーションの特徴をより詳細に把握できます。また、4感情評定版では、感情の読み取りに関する特徴が呈示条件によって異なるかどうかを把握するための「コミュニケーションタイプ」(全9種類)を判定できます。コミュニケーションタイプには、全条件における正解率が高い「高受信タイプ」、反対に全条件における正解率が低い「低受信タイプ」、「音声のみ条件」と「表情のみ条件」の正答率は低いものの「音声+表情条件」の正答率は高い「相補タイプ」などがあります。相補タイプに該当する人は対面でのコミュニケーションでは感情の読み取りに関する問題は生じにくいかもしれませんが、電話などの「音声のみ」から感情を読み取る必要がある状況では問題が生じる可能性が高くなるといえます。このような情報から「電話を用いた業務には特別な配慮が必要」といった支援に関する方針を検討する際の資料を得ることもできます。3 快ー不快評定版の紹介快―不快評定版と4感情評定版の大きな違いは、「検査刺激で表現される感情の明確さ」です。4感情評定版で呈示される刺激は大多数の人が特定の感情を読み取れるくらいに「明確に」感情が表現されるのに対し、快―不快評定版では人により読み取れる感情がばらつくくらいに「曖あい昧まいに」感情が表現されます。検査を受ける人は読み取れる感情の種類を答えるのではなく、読み取った感情の「快―不快の程度」を9段階で評価します。ただし、呈示条件が3種類あることなどは4感情評定版と同様です。それでは、この検査ではどのような特徴を評価できるのでしょうか。職場のコミュニケーションにおいては、感情を読み取りにくい「曖昧な」感情表現がなされることが少なくありません。そのような相手の表情や音声から「快あるいは不快にかたよって」感情を読み取っているとすれば、それは感情を読み取る人になんらかの心理的な要因があるのかもしれません。表2の検査結果の例をご覧ください。表中のパーセンタイル順位から「どのくらい快あるいは不快にかたよって感情を読み取っているか」を評価することができます。順位が0に近づくほど「不快にかたよって」、100に近づくほど「快にかたよって」感情を読み取っていることを表しています。このパーセンタイル順位は、検査を受けた人の検査得点が本研究に参加いただいた在職者の検査得点の分布上のどの位置に相当するかを示しています。なお、B検査はA検表2 快 ― 不快評定版の検査結果の例(一部抜粋)

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