働く広場2017年11月号
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22働く広場 2017.11を中心とした田園が広がるその風景からは、穏やかな日本の四季が感じられる。一方で、名古屋市までの直通バスが走っており、名古屋駅前まで約50分というアクセスのよさも、この町の大きな強みである。まず最初に、東員町長の水みず谷たに俊とし郎おさんにお話をうかがうとしよう。Q プロジェクトを知る以前の東員町での障がい者の就労の状況は?水谷町長 これまで町内にはB型事業所しかなく、自立可能な収入を得られる場所が不足していました。この町で生まれ育った障がいのある子どもたちが、この町で自立して生きていくためには、働ける場所をつくることは絶対的なミッションだったのです。Q 実際に芽室町を訪れて  感じたことは?水谷 九神ファームで働く障がい者の、芋の皮むきをする作業現場を視察したとき、その精度とスピードに大きな衝撃を受けました。東員町でプロジェクトを発足した当初からこれまで、迷いもがくとき、あきらめかけそうになったとき、いつもあの場面を思い出します。22穏やかな日差しのなか、地域の高齢者農業サポーターの指導を受け農作業をする従業員の方々を眺めながら、職業指導員の小野寺仁さんにお話をうかがった。Q 自治体との連携について聞かせてください職業指導員 小野寺さん 開所当初は、初めて参入する土地で右も左も分からず戸惑うことや、遠慮をしてしまうことも多かったですが、事業開始から約3年、われわれも少しずつこの町の一員になれてきたように感じます。いまでは、いいにくいことも本音でいい合えて、信頼関係を築けているという実感があります。地域の幼稚園や保育園から園児の収穫体験を受け入れたり、町で開催されるイベントへの参加をうながしてもらったり、農作業をしている様子を見た町民の方々から声をかけてもらったり……。今日も明日も、これからも、当たり前にこの町に根づいていけるということを、日々体感しています。Q 障がい者の仕事ぶりはどうですか?小野寺 私たちの事業所の主事業は農業です。農業はだれが種を蒔まいても必ず芽が出る。障がいのある従業員の成長を一番近くで見ていて、それと同じように感じることが多いです。弊社は重度の知的障がいのある従業員も多く、その年齢も10代~60代までと幅広いのですが、一人ひと水谷町長の熱意は、こうしてシグマホールディングス株式会社へつながった。シグマホールディングスは東京に本社を置く人材サービス会社である。2012年に特例子会社としてシグマフロンティア株式会社を設立し、全国3事業所で主に重度知的障がい者を中心に16人を雇用している。その仕事内容は、電子部品の検品作業や文房具の組立て、事務処理やデータ加工など多岐に渡る。三重県松阪市でも特例子会社を運営している同グループが、東員町の熱意に応える形で事業所開設に名乗りをあげた。「プロジェクトめむろ」をモデルに設立された「シグマファームとういん」は、九神ファームと同じく農業を核に事業運営を行う就労継続支援A型事業所である。2015年2月に、三重県の鈴木知事を立会人にシグマホールディングスが、「農・福連携のまちづくり」に関する協定を東員町と締結し、遊休地だった約3ヘクタールの土地を農地として活用し、さつまいもやゴマ、玉ねぎなどを生産。開所から3年、フルタイム雇用および10万円以上の工賃支払いを継続し、これまでに3人が一般就労へとステップアップした。このような実績は、東員町の障がい者の自立、遊休地の活用、町内企業の障がい者雇用にも貢献している。シグマファームとういん働く場所をつくることは、町にとっても絶対的なミッションだった彼らと一緒にこの町の力になりたい職業指導員の小野寺仁さん水やりをする緒方大介さん(右)と、水谷謙介さん(左)。サポートをするスタッフの河合尚美さん(中央)

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