働く広場2017年11月号
25/36

23働く広場 2017.1123りが自分のできることや目標にしっかりと向き合い、一生懸命に作業に取り組んでくれています。きちんと必要な場所に可能性という名の種を蒔いてあげることができれば、仕事という水や、町の方々からの温かい眼差しという太陽を浴びて、彼らの芽はぐんぐんと成長する。その姿からは頼もしさすら感じています。 「シグマファームとういん」のホームページには、「生産だけにとどまらず、加工、販売を含む6次産業の実現を目指す」とある。また、「近隣の幼稚園や小学校の収穫体験受入れなどさまざまな形で地域に活力を与えられる施設を目指す」ともあった。開所から3年、目の前の農園で汗を流しながら農作業をする障がい者の表情や、彼らに寄り添う地域の高齢者農業サポーターの笑顔、事業所に届けられた幼稚園児たちの手紙から、その目ざす姿の輪郭がたしかに見えてくる。取材の最後、再びご挨拶にうかがった町長室で、水谷町長は東員町の今後の展望をこう締めくくった。「今後はこの町で“もっと儲かる農業”が展開できるよう、新産業創造プロジェクトを進めていきたいと計画中です。また、より多くの障がいのある子どもたちに、働くことの楽しさや、働くということを通して社会の一員になる充実感を知ってほしい。福祉や教育への呼びかけはもちろんだが、障がいのある子どもを持つ保護者へも『働いて生きていける』という選択肢が、この町には存在するということを広く周知していきたいと思います」芽室町や東員町での実績を知った長野県が、「長野県でも、プロジェクトめむろの横展開を!」と、わが町こそはと手をあげる自治体を求めて働きかけを始めた。県内77市町村を対象に開催された周知セミナーを皮切りに、県の担当者が各自治体をまわり、説明を重ねた。そんななか、真っ先に名乗りをあげたのは、長野県の最も北に位置する飯山市だった。人口約2万2000人のこの市は、唱歌「ふるさと」や「朧おぼろ月づき夜よ」などにも歌い継がれてきたような懐かしい日本の情景が色濃く残る市で、春から夏には菜の花をはじめとする花々が咲き誇り、冬には真っ白に広がる雪原に数多くのかまくらが出現する。この飯山市でも、芽室町や東員町と同じく、市内には就労継続支援B型事業所と移行支援事業所しかなく、地域の障がい者の就労場所の不足にもがき続けていた。まず最初に、飯山市長の足立正則さんにお話をうかがった。Q 私たちは第3の“めむろ”になりたい!と手をあげた一番の理由は? 足立市長 障がいのある方たちが、雇用契約を結んで働ける場所がほしかった。働いて、お給料を手にして、自立できる人は自立をする。そういうことが本当に実現できれば素晴らしいと思いました。Q 実際に芽室町を訪れて感じたことは?足立 それまでは飯山市内のB型事業所で見る風景が当たり前だと思っていたので、実は最初に芽室町の話を聞いたときは半信半疑でした。でも、実際に九神ファームの現場を見せてもらって、その仕事ぶりに衝撃を受けました。それは、障がい者のために仕事があるのではなく、第3の“めむろ”になりたい!長野県飯山市障がい者が、雇用契約を結んで働ける場所がほしかった人参に水やりをする廣ひろ田た晴はる香かさんベビーコーンの収穫をする清水宏樹さん小野寺さん(右)から指導を受ける阪本孝志さん(左)

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る