働く広場2017年11月号
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24働く広場 2017.11たまたま障がいのある人が働いている……そんな風景でした。Q 事業所誘致から開設までに苦労をしたことは?足立 振り返ってみると、苦労といえるほどたいへんだったことはありません。最初に芽室町で教えてもらった設立当初の工夫を活用させてもらいました。地域の理解を得るための説明会を細やかに開催したことも、そのひとつです。Q プロジェクトを進めるにつれて役所内にも変化があったと聞きました。足立 行政という組織的な特色もあり、役所内の横の部署間で連携をするということが初めてでしたが、つながりができ、協力して進めることができました。この経験は非常に大きい成果だと思います。今後も各おの々おのが業務に取り組んでいくうえで、必ず力になると感じています。事業所設置に意欲的な企業を誘致し、事業内容を複数部門が連携して構築する。地域で障がい者や高齢者を雇用し、生産をし事業を拡大する。プロジェクトを円滑かつスピーディーに進めていくことは、役所内の一部署だけの動きでは到底不可能だ。福祉、農業、産業振興、商工など、あらゆるセクションが役割を分担し、目ざすゴールへ向って協働していく必要がある。今回のプロジェクトの推進は、事業所設置だけに留まらず大きな副産物を産み出しているようだ。こうして2015年、飯山市からのア24プローチを受け、愛媛県松山市に本部を置き、スーパーマーケットなどを中国・四国6県に95店舗展開する、株式会社フジが参入を決断した。2016年4月には阿部長野県知事立会いのもと、飯山市と農福連携を相互に協力して事業を進めるための協定を締結。同年9月に、「農業を通じて、町、人、企業、つながるみんなが笑顔になれる」そんな企業を目ざしたいという思いを込め「まちと人を、耕す。」をミッションに掲げた、就労継続支援A型事業所「フジすまいるファーム飯山」が開所された。閉校となる小学校を利用し、事業所を設置。約3ヘクタールの国営農地を中心に、キャベツや大根、信州伝統野菜の坂井芋などを生産加工し、道の駅などで愛媛産の柑橘類の販売なども行っている。重度の知的障がい者と精神障がい者を中心に、11人をフルタイムで雇用し、10万円以上の工賃支払いを達成している。開所から約1年。職業指導員の永松健次朗さんに、障がいのある従業員の働きぶりや成長についてうかがった。Q この1年で印象に残るエピソードはなんですか?職業指導員 永松さん 技術面での向上はもちろんですが、作物への愛情が芽生えてきていると感じます。例えば、雑草と大根の芽を間違えて抜こうとする人が居ると、注意をしたり、収穫した作物を満面の笑顔で見つめたり、そんな姿を見るとこちらまで嬉しくなりますね。そうそう、こんなこともありました。会社では、スタッフと従業員が日誌のやりとりをしているのですが、コミュニケーションが苦手な従業員の方が、ある日の日誌に「私は働く人です!」という一文を書いてきたのです。その日誌を見たときは、スタッフ全員で泣けるほど嬉しかったです。弊社に入社する前は、特別支援学校を卒業後、B型事業所を利用していた方ですが、この1年間で、確実に働くということを理解し、職責を果たそうとするまでに成長してくれています。従業員の方々が作業をしている現場を眺めていると、一人ひとりが周りを気遣い、時間を意識しながら丁寧に作物に向き合っている様子がうかがえる。その風景は、足立市長が芽室町で感じた「障がい者のために仕事があるのではなく、たまたまその仕事に就いているのが障がい者であった」という風景に、もうすでに近づいてきているのだと感じる。最後に、従業員の福島洋ひろ人とさんに、作業内容や将来の夢についてうかがった。Q フジすまいるファーム飯山に入社する前は何をしていましたか?福島さん 地域のB型事業所に8年いまスタッフ全員で泣けるほど嬉しかった仕事もプライベートも普通にしたい飯山市のヨコの連携円陣職業指導員の永松健次朗さん飯山市長の足立正則さん

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