働く広場2017年11月号
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27働く広場 2017.11図1 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の概要 図3 発達障害者支援法の一部を改正する法律 概要改正の趣旨◎医療の役割を明確にすること - 医療の役割は、治療、健康維持推進を図るもので、犯罪防止は直接的にはその役割ではない。◎精神疾患の患者に対する医療の充実を図ること - 措置入院者が退院後に継続的な医療等の支援を確実に受けられ、社会復帰につながるよう、地方公共団体が退院後支援を行う仕組みを整備する。◎精神保健指定医の指定の不正取得の再発防止 - 指定医に関する制度の見直しを行う。改正の概要改正の趣旨を踏まえ、以下の措置を講ずる。1.国及び地方公共団体が配慮すべき事項等の明確化国及び地方公共団体の義務として、精神障害者に対する医療は病状の改善など精神的健康の保持増進を目的とすることを認識するとともに、精神障害者の人権を尊重し、地域移行の促進に十分配慮すべきことを明記する。2.措置入院者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備措置入院者が退院後に社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な医療その他の援助を適切かつ円滑に受けることができるよう、以下のような退院後支援の仕組みを整備する。⑴措置を行った都道府県・政令市が、患者の措置入院中から、通院先の医療機関等と協議の上、退院後支援計画を作成することとする。(患者の帰住先の保健所設置自治体が別にある場合は、当該自治体と共同して作成)⑵退院後は、患者の帰住先の保健所設置自治体が、退院後支援計画に基づき相談指導を行うこととする。⑶退院後支援計画の対象者が計画の期間中に他の自治体に居住地を移転した場合、移転元の自治体から移転先の自治体に対して、退院後支援計画の内容等を通知することとする。⑷措置入院先病院は、患者等からの退院後の生活環境の相談に応じる「退院後生活環境相談員」を選任することとする。3.精神障害者支援地域協議会の設置保健所設置自治体は、措置入院者が退院後に継続的な医療等の支援を確実に受けられるよう、精神障害者支援地域協議会を設置し、⑴精神科医療の役割も含め、精神障害者の支援体制に関して関係行政機関等と協議するとともに、⑵退院後支援計画の作成や実施に係る連絡調整を行う。4.精神保健指定医制度の見直し指定医の指定の不正取得の再発防止を図り、その資質を担保するため、指定医の指定・更新要件の見直しや、申請者が精神科医療の実務を行うに当たり指導する指導医の役割の明確化等を行う。5.医療保護入院の入院手続等の見直し患者の家族等がいない場合等に加え、家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とする等、適切な医療の提供を確保する。施行期日公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(1.については公布の日)(予定)図2 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(概要)趣 旨障害者が自らの望む地域生活を営むことができるよう、「生活」と「就労」に対する支援の一層の充実や高齢障害者による介護保険サービスの円滑な利用を促進するための見直しを行うとともに、障害児支援のニーズの多様化にきめ細かく対応するための支援の拡充を図るほか、サービスの質の確保・向上を図るための環境整備等を行う。概 要1.障害者の望む地域生活の支援⑴施設入所支援や共同生活援助を利用していた者等を対象として、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相談・助言等を行うサービスを新設する(自立生活援助)⑵就業に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所・家族との連絡調整等の支援を行うサービスを新設する(就労定着支援)⑶重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能とする⑷65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を障害福祉制度により軽減(償還)できる仕組みを設ける2.障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応⑴重度の障害等により外出が著しく困難な障害児に対し、居宅を訪問して発達支援を提供するサービスを新設する⑵保育所等の障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援について、乳児院・児童養護施設の障害児に対象を拡大する⑶医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉等の連携促進に努めるものとする⑷障害児のサービスに係る提供体制の計画的な構築を推進するため、自治体において障害児福祉計画を策定するものとする3.サービスの質の確保・向上に向けた環境整備⑴補装具費について、成長に伴い短期間で取り替える必要のある障害児の場合等に貸与の活用も可能とする⑵都道府県がサービス事業所の事業内容等の情報を公表する制度を設けるとともに、自治体の事務の効率化を図るため、所要の規定を整備する施行期日平成30年4月1日(2.(3)については公布の日(平成28年6月3日))(平成28年5月25日成立・同年6月3日公布)(平成28年5月25日成立・同年6月3日公布・同年8月1日施行)・障害者をめぐる国内外の動向……障害者権利条約の署名(平成19年)・批准(平成26年)障害者基本法の改正(平成23年)等・発達障害者支援法の施行の状況…平成17年の施行後、約10年が経過発達障害者の支援の一層の充実を図るため、法律の全般にわたって改正第1 総則⑴ 目的(第1条) 切れ目ない支援の重要性に鑑み、障害者基本法の理念にのっとり、共生社会の実現に資することを目的に規定⑵ 発達障害者の定義(第2条) 発達障害がある者であって発達障害及び「社会的障壁」により日常生活・社会生活に制限を受けるもの ※社会的障壁:発達障害がある者にとって日常生活・社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの⑶ 基本理念(第2条の2) 発達障害者の支援は ①社会参加の機会の確保、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない ②社会的障壁の除去に資する ③個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、関係機関等の緊密な連携の下に、意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行う⑷ 国及び地方公共団体の責務(第3条) 相談に総合的に応じられるよう、関係機関等との有機的な連携の下に必要な相談体制を整備⑸ 国民の責務(第4条) 個々の発達障害の特性等に関する理解を深め、発達障害者の自立及び社会参加に協力するよう努める第3 発達障害者支援センター等⑴ センター等による支援に関する配慮(第14条) センター等の業務を行うに当たり、可能な限り身近な場所で必要な支援が受けられるよう配慮⑵ 発達障害者支援地域協議会(第19条の2) 支援体制の課題共有・連携緊密化・体制整備協議のため都道府県・指定都市に設置第2 発達障害者の支援のための施策⑴ 発達障害の疑いがある場合の支援(第5条) 発達障害の疑いのある児童の保護者への継続的な相談、情報提供及び助言⑵ 教育(第8条) 発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮 個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成の推進、いじめの防止等の対策の推進⑶ 情報の共有の促進(第9条の2) 個人情報の保護に十分配慮しつつ、支援に資する情報共有の促進のため必要な措置を講じる⑷ 就労の支援(第10条) 主体に国を規定、就労定着の支援を規定、事業主は雇用の機会の確保、雇用の安定に努める⑸ 地域での生活支援(第11条) 性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じた地域での生活支援⑹ 権利利益の擁護(第12条) 差別の解消、いじめの防止等及び虐待の防止等のための対策推進、成年後見制度が適切に行われ又は広く利用されるようにすること⑺ 司法手続における配慮(第12条の2) 司法手続において個々の発達障害者の特性に応じた意思疎通の手段の確保等の適切な配慮⑻ 発達障害者の家族等への支援(第13条) 家族その他の関係者に対し、情報提供、家族が互いに支え合うための活動の支援等第4 補則⑴ 国民に対する普及及び啓発(第21条) 学校、地域、家庭、職域等を通じた啓発活動⑵ 専門的知識を有する人材の確保等(第23条) 専門的知識を有する人材の確保・養成・資質の向上を図るため、個々の発達障害の特性等に関する理解を深めるための研修等を実施⑶ 調査研究(第24条) 性別、年齢等を考慮しつつ、発達障害者の実態の把握に努めるとともに、個々の発達障害の原因の究明等に関する調査研究第5 その他⑴ 施行期日(附則第1項) 公布日から3月内の政令で定める日⑵ 検討(附則第2項) 国際的動向等を勘案し、知的発達の疑いがある者等について実態調査を行い、支援の在り方について検討等

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