働く広場2017年11月号
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28働く広場 2017.11研レ究ポ開ー発ト専門的な雇用支援が必要な若年軽度知的障害者の実態把握に関する基礎調査知的障害者の雇用支援については、特別支援学校での職場実習などの充実、関係機関の連携によるチーム支援などにより進展が図られているところですが、特別支援学校ではなく、一般高校に進学した知的障害者についてはどうでしょうか。特別支援学校進学者のような支援が受けられず、若年期から離転職をくり返し、安定した雇用に結びつかない可能性があります。このため一般高校に進んだ軽度の知的障害者について就業の実態を把握するための調査を行いました。1 方法 ⑴ 質問紙調査ハローワークと地域障害者職業センターを対象に質問紙調査を行いました。ハローワーク分については、各労働局を通じて1都道府県最大3事例、地域障害者職業センター分については1所当たり最大3事例を報告してもらいました。質問紙調査では、本人の学歴、療育手帳に関すること、障害の理解状況、現在の活動状況、離転職の状況、学校や支援機関で受けた就職支援などについて尋ねました。⑵ ヒアリング調査ヒアリング調査は、質問紙調査で回答のあった事例のなかから、年齢階層別、収入のある仕事の有無別、前職の有無別に6パターンに分け、各パターン最低3事例ずつを選び、事例を報告してもらったハローワークまたは地域障害者職業センターに対して行いました。2 結果 質問紙調査で回答のあった事例はハローワーク分で1都道府県当たり2・1件、地域障害者職業センター分で1センター当たり1・3件でした。ヒアリング調査のなかでも「この問題は従来から存在するが、量的には横ばいで推移しており、必ずしも喫緊の課題となっているわけではない」や、「3事例集めるのにも苦労した」との声が聞かれ、一般高校を出た軽度の知的障害者が療育手帳を取得して、障害者向けの雇用支援機関を訪ねることは多くないことが分かります。ただ、ヒアリングのなかでは「(療育手帳を取得して)ハローワークの専門援助部門を利用する軽度知的障害者は全体のごく一部と思われる。障害者職業総合センター研究部門手帳を持っていない人は一般相談窓口で相談するし、持っていても若年者向けの支援機関を利用している人、学卒窓口で対応している人がいると思われる」との指摘が多くあり、また、「発達障害と知的障害の重複が疑われながら一般相談窓口で相談している人はかなり増えている」という指摘もあり、今後問題が顕在化することが懸念されます。知的障害がありながら、特別支援学校を選択せず、一般高校に進学した理由について、ヒアリングでは、「親の意向により一般高校を選択している」という指摘が多くありました。親の意向の背景としては、「世間体を気にする」、「子どもに障害者のレッテルを貼られたくない」、「知的障害が軽度であり、生活に問題ないので障害の認識・理解がない」などがありました。一方、進学先の一般高校の受入れ状況については、最近の少子化傾向と相まって入学希望者を多方面から募集するため、知的障害の軽度な人にも入学の門戸が開かれているとの声がありました。ただ、就職に際しては、障害者の進路指導のノウハウが十分でなく、ハローワークなどに相談するよう指導することが多いとのことでした。この傾向は一般高校だけでなく、専門学校などでもみられました。また、軽度知的障害に起因する職場定着の問題として、就職しても、ほかの職場がいいと思うと先のことを考えずに辞めてしまうとの指摘もありました。次に、質問紙調査の結果から職場定着の問題

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