働く広場2017年11月号
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2働く広場 2017.11――知的障害者の就労支援にどのような形でかかわっているのですか。上村 いまは大学の教員として、社会福祉士の実習教育を担当し、学生の実習先と話し合ったり、学生のサポートをしています。そのなかで、就労支援センター、通勤寮を持っている社会福祉法人や、母子生活支援施設、更生保護施設、福祉事務所などの指導者の方との出会いが広がってきています。――この分野にかかわるきっかけは、何だったのですか。上村 この分野との出会いは、学生時代にたまたま社会福祉サークルに入り、頚けい髄ずい損傷や重度の脳性まひの方の生活介助に入ったことでした。アメリカに1カ月間一緒に行ったりもしました。前向きに生きる人たちには、簡単ではないですが、社会を変えていく力がある。「社会にはいろいろな人がいたほうが面白い」と自然に思うようになりました。 大学院修士課程のとき、特例子会社で2年間、コンサルティングをさせていただき、障害者と一緒に働く指導員の存在が大事だという仮説ができました。その後、博士論文を書くときに「東京しごと財団」の、東京ジョブコーチとして特例子会社にサポートに入りました。そこでは、能力はあるのに、孤独な生活で溜ためたストレスを引きずって、職場でミスをくり返してしまう方がいました。このケースを通して、「生活」と「働くこと」は密接に関係し、生活支援も大事だと学びました。――ご自身の強みや目標は何ですか。 福祉の専門家でありながら、かつて企業に勤めていた経験を活かして、企業に具体的にアドバイスできることが、強みではないかと思っています。「企業と福祉の懸け橋になりたい」という、生涯かけて取り組む目標を見つけましたので、「お役に立てるところがあれば」と思っています。最近は、障害者の就労支援や障害者雇用に興味のある学生も増えてきて、教え子が特例子会社に就職もしているので、うれしいですね。――昨今の障害者の一般企業への就労に関しては、どのように感じていますか。上村 障害者だけではなく、外国人や、いろいろな方が一緒に働く時代になってくるなかで、「一定の配慮をすれば障害者は戦力になる」という手応えを持っている企業が増えてきています。 また、企業の障害者担当の方が熱心に取り組んでいる姿を拝見して、障害者の雇用が企業文化に化学変化を起こす面白さも感じています。知的障害にかぎったことではありませんが、企業文化に新しい風を吹き込むのが、障害のある方の存在だと思います。企業は営利性が第一だと思いますが、個別性へのチャレンジというか、それぞれに合った働く環境の工夫をしたり、能力を発揮できるようにチャレンジすることが日本社会事業大学講師上村勇夫さん うえむら いさお 1973(昭和48)年、神奈川県生まれ。1996(平成8)年、中央大学卒。一般企業、特例子会社、東京ジョブコーチなどを経て、2014年、博士(社会福祉学)取得。2013年より現職。修士論文が「障害者と一緒に働く一般従業員に目を向けた研究は斬新」との評価を受け、日本社会福祉学会・論文部門奨励賞を受賞。著書『知的障害者が長く働き続けることを可能にするソーシャルワーク -職場のソーシャルサポート機能を重視した就労・生活支援-』(ミネルヴァ書房)。企業と福祉の懸け橋になりたい企業と福祉の懸け橋になりたい企業勤務、ジョブコーチを経験後、研究職に障害者雇用が企業に化学変化を起こす

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