働く広場2017年11月号
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6働く広場 2017.11から、優秀な人たちをリーダーに抜ばっ擢てきしました。将来はさらにサブリーダー、リーダーとなるメンバーを増やしたいという思いがあります。採用者は、ろう学校の新卒と障害者職業訓練校などの卒業生が多いのですが、『手話で指示が出せる環境で働きたい』という人もいて、とてもいい流れなのかと思います」 堀さんは、“意思が通じないという障害”をなくせば、聴覚障害者と知的障害者がともに働くことができると考えた。「健常者のスタッフと知的障害の人たちと聴覚障害の人たちとの間には“通じないという障害”が出てきますから、組織のなかでは、『通じない』を『通じる』にすることが一番のポイントです。同じ仕事を1日続けるわけではないので、作業が変わるたびに筆談ボードで確認していたのでは仕事が進まない。手話に興味を持つ知的障害者たちがいたので、手話に力を入れ始めました。丸井グループから出向して来たスタッフは、手話で会話ができるようになるころには異動してしまいますから、長くここにいるアルバイトの人たちを育てようと考えました」アルバイトの高野理香さんは、聴覚障害の人たちと一緒に働きながら手話を覚え、同じくアルバイトの杉田有香さんはの「苦手」を明確化するためにライセンス制度をつくった。以下、堀さんが続ける。「計算が苦手な人がいたとしたら、計算が苦手という部分を解決しなければ生産性が上がりません。そこで、苦手なところはどこにあるのか。仕事別・個人別の得意・不得意を洗い出すために、1級、2級、3級のライセンス制度をつくりました。1級は、特別な配慮がなくてもできる基本的なレベルなので、1級に×や△があったとしたら、そこがその人にとって苦手なところ、仕事の“障害”となっているところです」「用度品ライセンス」(写真参照)を例にとると、「検品」、「ピックアップ」に1・2・3級があり、2級、3級にはイレギュラーな項目や判断業務が含まれる。業務ごとの膨大な項目は、各担当スタッフが1年がかりで考えた。「例えば検品という仕事は、細かい作業の積重ねです。段ボールを開けてから閉めるまでさまざまな作業がありますから、作業を細かく分けた一つひとつの項目をできるかどうかをチェックすると、個人別の得意・不得意や、ここまでできるというレベルがわかってきます。ライセンス制度をつくったことで、仕事のどこに“障害”が出ているのかを全スタッフで共有できるようになりました」糊づけが苦手な人には、糊づけしやすいようサポートする補助具「糊ホルダー」を、帯封が苦手な人には帯封を巻きやすくする補助具を支給したり、計算が苦手な人がスムーズに作業できるよう、用度品を5点単位でまとめてセットしておくなど、「苦手」が「苦手」でなくなるような工夫を重ねてきた。「『障害のある人はこだわりが強い』といわれることがありますが、そのこだわりが仕事に出なければいい。出ないようにすれば、レベルアップしていくことができます」ライセンス制度ができる前は、年功序列の意識があり、「なぜ、あの年下の人の指示を受けなければいけないのか」という空気もあったとか。「この制度があると、たとえ年下でも3級の人の指示なら『この人は3級だから』とみんな納得しています。指示がすんなり入っていくためにも、業務ごとに1、2、3級のランクが必要でした」リーダーは3級の仕事ができ、プラスリーダーシップがある人。その条件を満たす聴覚障害者3人が、商品検品、事務サービス、出納センターのリーダーに就いている。「『できる人にはできることをやってもらおう』と考えたのです。特例子会社は健常者が運営陣、その下に障害者というケースが多いと思いますが、生産性を上げていくことを第一に考えて、横一列で仕事をしていた聴覚障害の人たちのなか手話が、仕事の共通語用度品ライセンス

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