働く広場2017年12月号
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朝、7時50分。取材先である京浜パネル工業株式会社の山形工場を訪ねると、塗装工場の入口で、熱心に読書をしている青年がいた。塗装工として活躍している石井達たつ樹きさん(25歳)だ。始業は8時30分だが、石井さんはほとんど毎朝、こうして過ごしている。発達障害(高機能自閉症)の石井さんは、幼稚園のころから、絵を描くことや運動会などで、友達と一緒に行動したり、競争することが苦手だった。しかし、幼いころから鉄道やロボットなどに興味を持ち、機械好きの石井さんは東北文化学園大学の科学技術学部に進学し、卒業後、製造業を希望。2014(平成26)年、ハローワークの紹介で、京浜パネル工業に入社した。京浜パネル工業では、初めての発達障害者の受入れに不安があったが、山形障害者職業センターなど支援機関のサポートや指導で、発達障害の特性や対応方法を学ぶなどして彼を迎え入れた。塗装課に配属された石井さんに、塗装課長から直接の作業指導、体調面の相談を行うなど、指示系統を一本化し、毎日の「作業計画書」や作業マニュアルなども視覚的にわかりやすくした。また、口頭での質問や相談が苦手な石井さんのために「業務日誌」を導入し、塗装課長が毎日確認、助言を記入している。本人の同意のもと、同僚たちも見られるようにして、石井さんの作業の理解度や、気になることなどを共有し、安心して仕事ができ、スキルアップもできるようにしてきた。こうした取組みは、平成28年度、当機構で実施している「障害者雇用職場改善好事例」募集で、優秀賞を受賞している。このように京浜パネル工業では、上司や同僚たちの支援を受け、石井さんのほか、障害のある社員が熟練工を目ざし、日々努力を重ねて活躍している。朝礼。塗装課長から1日の作業の指示を受けるマスクをつけ、作業開始入社して3年半になる石井達樹さん。塗装工程は、技術の積み重ねが大事。下処理から仕上げまで、すべてができる塗装工を目ざして努力している「社長の理解もあり、従業員たちも面倒見がいいんです」と語る、技術・総務担当部長の伊藤信行さん(右)と、石井さんの定着支援にあたった塗装・製品管理担当部長の阿部直巳さん(左)京浜パネル工業株式会社の山形工場16働く広場 2017.12

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