働く広場2017年12月号
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21働く広場 2017.12水で苦しめられた歴史と、奥出雲の「たたら製鉄」でつくられた玉たま鋼はがねが刀となる過程は、物語として語られてきた、と聞かされてきた。今回の訪問は、日本古来の歴史と伝統を持つ、その「たたら製鉄」のものづくりの哲学を受け継ぐ、日立金属株式会社安来工場の関連会社、株式会社日立金属安来製作所である。障害者雇用の責任者である総務部施設管理グループ長の森本忠男さんと、係長の祖そ田た薫さんに迎えられ、現場を取材させていただいた。2010(平成22)年、鉄鋼業の障害者雇用除外率(※)が30%から20%に引き下げられ、日立グループのなかで障害者雇用率を達成していない事業所がピックアップされた。日立金属安来製作所もそのひとつであり、森本さんによると「当時の社長から障害者雇用を推進するよう指示が出た」ことがきっかけだったという。森本さんは当初、障害者の理解など何ひとつないまま、何をどうしたらいいかわからず、日立金属の特例子会社「株式会社ハロー」を手始めに、他社の障害者雇用事業所の取組みを視察し、「どこかの真似をすればいい」と思っていたそうである。しかし、実際に各社を視察しても、業種が異なり、自社にはマッチングしない地で、安来市の重要な産業のひとつである。このヤスキハガネのルーツは、かつての「たたら製鉄」である。安来市の西南に位置する島根県奥出雲地方では良質な砂鉄が採れ、古代から砂鉄を原料とする「たたら製鉄」が盛んで、高度経済成長前までは、この砂鉄を採取することから、冬場は斐ひ伊い川かわや赤川、およびその支流は赤土色の濁流だった。私は小学生のころ、河か鹿じかの鳴く夏の清流で、川岸に溜まった砂鉄を磁石を使って採って遊んだ。古事記や、日本書紀のヤマタノオロチ伝説は、この地域では神楽として語り継がれ、斐伊川や赤川など、8つの川の洪21島根県安やす来ぎ市は、鳥取県との県境にあり、北は日本海につながる中海に面し、西と南は松江市、雲うん南なん市、奥おくいずも出雲町に、東は鳥取県の米よな子ご市と南部町に隣接し、「伯ほうきふじ耆富士」と呼ばれる大だい山せんを仰ぎ見ることもできる、風ふう光こう明めい媚びな人口4万人弱の小さな町である。安来といえば、民謡の安来節が有名であり、安来節で踊るドジョウ掬すくいのイラストが市のキャラクターとなっている。そして安来市は、知る人ぞ知る、世界に誇れる品質の「ヤスキハガネ」の生産①各所のキーマンに「困りごと」のヒアリングをし、業務創出につながる情報を収集する②職場内の支援者と障害者、お互いのコミュニケーション能力を高めることで仕事のミスを少なくし、結果的に職場定着につなげる③ 依頼された仕事に付加価値をつけて返すことで、お互いに支え合い、成長し合えるという気持ちで取り組むPOINTPOINTPOINTはじめに障害者雇用に取り組んだきっかけ株式会社日立金属安来製作所が入る日立金属株式会社安来工場係長の祖田薫さん総務部施設管理グループ長の森本忠男さん※それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められている

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