働く広場2017年12月号
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22働く広場 2017.12業務が多く、結局は自分で考えるしかないと思った。 「何かない?」と聞いただけでは取り合ってくれない。「工場内で困っていることは何か? 表に出てこない困りごとがあるはずだ」といった気持ちで、各所のキーマンとなる人物に「困りごと」のヒアリングをし、情報を収集したという。この情報収集の仕方が、業務の切出しの重要なポイントとなった。 (1) 工場内に隠れている「困った!」を常に意識⇨アンテナを高くする(2) 「何かない?」だけの問いかけはだめ⇨相手に対策を求めない(3) 一緒に考える。「困りごと」のあぶり出し⇨提案する(4) 机上(頭)で考えない。現場(足)で考える⇨考え抜く(5) 職場から相談があれば即対応する  ⇨まずやってみる森本さんは「特別なことをしたのではなく、これまでの仕事の仕方と同じ手順をふんだ結果です。各所を訪問し『この伝票はこの後どうなる?』、『いつまでにどうすればいい?』といった具合に、具体的にヒアリングすると、互いに問題点や仕事の整理ができ、障害者の業務創出は意外と早く進めることができました」と語る。しかし今度は、障害者をどう採用すれ22事のミスを少なくしていった結果、定着につながったという。日立金属安来製作所全体では、雇用する障害者の数は20人であるが、そのうちの半数が総務部施設管理グループで働き、グループのメンバー25人のうち、10人が障害者で占めている。内訳は、下肢障害1人、知的障害2人、発達障害7人と、発達障害の方が多い。前述したように、特に意識して採用したわけではなく、2012年にハローワークからの紹介で1人採用しはじめてから、結果として発達障害の方が7人になったという。近年は、特別支援学校からの採用が増えてきたため、平均年齢は25歳前後と若くなっている。(1) 緑化作業補助広大な敷地にある工場は、草刈り、枝落としなどの補助業務のほか、防草シート張りや、夏場は炎天下での草刈り業務が連日のようにある。この作業は天候に左右されることから、担当者を固定するのではなく、社内業務と並行して、その日の担当者を決めている。この作業を担当する人は、「刈払機取扱作業者」の安全衛生教育を受けている。訪問した日も暑い日で、平ひら垣がき大だい地ちさん、松まつ林ばやし遼りょう太た郎ろうさん、石倉悠ゆう生きさんの3人が腰にペットボトルをつけ、完全防備で支援スタッフと一緒に草刈りを行っていた。ばいいのかわからなかった。調べた結果、島根障害者職業センターが障害者雇用について支援してくれると知り、当時の人事担当者と一緒にセンターの門をたたき、上席障害者職業カウンセラーの高見聡子さんに相談した。国立吉備高原職業リハビリテーションセンターを卒業予定の障害者を、ハローワークから紹介され、採用第一号となった。最初は、何をどこまでやれるかわからず、社宅や寮の営繕業務の補助作業から始めてもらったが、指示を的確にすればいろいろできることがわかり、仕事はどんどん増えていった。業務のすべてに「掴つかむ」作業があるため、採用の際は、「握力がない」などの方はお断りしているが、厳しい入社試験はない。動き回る仕事が多いため、結果的に採用するのは発達障害の方が多くなった。最初から上手ということはないが、下手なわけではない。指示の仕方を工夫することで仕事ができるようになる。そして、信頼関係ができれば、コミュニケーションもとれる。マンツーマンに近い指導をしていると、お互いが分かり合える時間が増え、師弟関係のようになっていったという。そして何より、採用した人が辞めていない。これは、一人ひとりの適性にぴったりと合う仕事を準備するのはむずかしいと考え、その代わり、お互いのコミュニケーション能力を高め、きちんとできたら褒ほめて自信を持ってもらうことで、仕社内業務における新規業務創出の着眼点社内での業務内容森本さん、祖田さんと打合せをする、島根障害者職業センターの上席障害者職業カウンセラーの高見聡子さん(右)

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