働く広場2017年12月号
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25働く広場 2017.12んは、フォークリフト、玉掛けなど、5種の資格を取得している。森本さんに、これからの障害者雇用の取組みについてお話をうかがった。「多くの企業では、障害者雇用というと『社内のみなさんに仕事を分けてもらって支えられている』という感覚が根強いと感じます。当然その部分もありますが、私たちは『支えられている』ではなく、従来の仕事に付加価値をつけてお返しすることで、私たちもみなさんを『支えている』という気持ちで、お互いに成長し合うものであると考えています。社内に障害者雇用を意識してもらうためには、各部門では、それぞれにコアな業務に専念してもらい、障害者にできる部分は分業化し、無駄な残業や知的財産の機会損失がないよう、縁の下の力持ち的存在でたずさわっています。将来的には、会社のなかのハローワークとして、一人ひとりの特性を活かして各職場に配置し、それぞれの部署でも活躍できる人材に育てていきたいと思っています」森本さんは今日の取材のために、これまで障害者雇用の取組みを各所で講演してきた資料をさらに精査し、詳細な資料を準備して説明してくださった。その説明は、まるで立て板に水を流すがごとく流暢で、そして何より楽しそうに話していた。従業員との会話の様子などは、出雲弁の単語が随所に散りばめられ、その人をやる気にさせる、ポジティブな発想と明るい人柄に、障害者雇用担当者のモデルと感じた。日立金属安来製作所では、森本さんが2012年に企業在籍型ジョブコーチ(旧2号ジョブコーチ)の研修を受け、祖田さんも2016年に受講。今年はもう1人、主任が研修の受講を予定しており、障害者を支援する体制の充実を図っている。ただ、配置型、訪問型ジョブコーチに関しては、「常に現場にいるわけではないので、ジョブコーチが右往左往し、検討と保留と様子見で、タイムリーな指導や助言がむずかしい」と、手厳しい言葉もいただいた。島根県内には、大企業は少なく、日立金属安来製作所のような1000人近い従業員のいる会社は、数えるほどであるが、地元でも有名な企業が、障害者雇用を率先して取り組んでいることの影響力はとても大きい。2018年4月には、発達障害を含む精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加わることにより、障害者雇用率が引き上げられる。就労移行支援事業所は、年々発達障害を含む精神障害者の利用割合が増え続け、企業への就職を望んでいる。今回の取材では、誇りをもって働いている10人の障害者の方々にお会いすることができた。日立金属安来製作所の障害者雇用の取組みが、多くの企業のヒントになることを願っている。25察し、スタッフ同士で情報を共有して、できるだけ能力を引き出す努力をしています。『障害者』というと、すぐにできないことを探すことに目が行きがちですが、そこをあえて『いいところ(できること)』を先に引き出すことが、会社の戦力にするための近道だと実感しています。否定文で会話するのではなく肯定文になるよう心がけています。この点は、健常者も障害者も同じです。(9)でいいたいことは、事故や失敗など、ほとんどの原因は“初歩的なミス”で、さらに紐解くと、何かしらの“横着”に原因があります。『あのとき、ちゃんといっておけばよかった、確認しておけばよかった』の後悔ばかりが残ります。特に、支援スタッフが指示方法を“横着”すると、最悪、事故になりかねません。たったひとこと、数十秒をおろそかにせず、常に向き合うよう心がけています。と、いうのは簡単ですが実際はまだ十分できていないのが事実です」日立グループでは、障害のあるなしにかかわらず、自分自身にチャレンジし、キャリアアップを図る制度を設けている。掲示板には、いま、だれが、どのような資格取得にチャレンジしているか、社員全員がわかるように貼り出してあった。例えば、松林さんはこの制度を利用して、QC(品質管理)検定3級や、危険物乙4類の資格を取得している。平垣さこれからシール作成をする田中翼さん

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