働く広場2017年12月号
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29働く広場 2017.12した人を対象として、30項目以上の調査項目についてハローワークが調査票に入力することにより回答を得ています。次に、グラフ2は、A型を除いた一般企業へ就職した障害別の定着率を表しています。就職後3カ月時点の定着率を障害別にみると、身体障害77・8%、知的障害85・3%、精神障害69・9%、発達障害84・7%でした。就職後1年時点の定着率は、身体障害60・8%、知的障害68・0%、精神障害49・3%、発達障害71・5%でした。この調査のうち、「身体障害者」については、視覚障害、聴覚言語障害、肢体不自由、内部障害に区分して把握しており、報告書にはこの区分ごとの集計結果も掲載しています。また、「精神障害者」については、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のうちで主たる障害が発達障害ではない人、または主治医などから統合失調症、そううつ病またはてんかんの診断を受けている人としています。なお、集計・分析結果の活用にあたっては、①就職先企業における職場定着への配慮や工夫の有無は不明であること、②調査時期を7月~8月に設定したため、年度当初の新規学卒者の就職状況が集計に反映されていないこと、③本研究における発達障害者は、発達障害の診断・指摘がある人であり、発達障害として未診断・未確定者の就職状況や職場定着状況について当てはまるものではないことに留意する必要があります。報告書では、定着率と調査項目との関係について、障害別に分析を行った結果を掲載しています。本稿ではそのうち主な統計解析の結果を紹介します。まず、障害者求人による就職と一般求人による就職の職場定着への影響の違いについて、すべての障害種において障害者求人により就職することが定着を促進する要因となっていることがわかりました。また、障害の開示が前提となる障害者トライアル雇用奨励金、ジョブコーチ支援、特定求職者雇用開発助成金(調査当時の名称)などの採用企業および就職した障害者を支援するこれらの支援制度と定着率の関係についても、支援制度を利用することにより定着率が高まる傾向がみられました。これらの結果の考察として、ほかの障害者と比べて定着率が低い精神障害者では、障害非開示の割合が32・6%とほかの障害者と比べて高いことをふまえると、職業紹介の過程において障害の非開示を希望する場合には、本人の意向・考えを十分に尊重・配慮しつつも、障害特性とニーズの丁寧な把握に努めたうえで、支援制度を活用する意義や効果などについて適切な理解をうながしていくことの重要性について述べています。加えて、企業における障害者に対する雇用管理上の配慮や工夫も、障害開示が実際上の前提となるため、障害非開示の場合は行われにくいと考えられます。なお、本研究では、ハローワークへの調査と並行して障害者を雇用する企業に対するヒアリング調査を行いましたが、その質的研究の結果から得た「企業の障害者雇用担当者が行う企業と障害者双方の希望と現状のバランスをとるための調整により就労の安定が促進される」という職場定着の鍵となるポイントも、障害非開示の場合に機能しにくく、障害の開示が前提となっていると推測されます。当研究部門は、報告書を基礎資料として、機構などにおけるほかの研究の知見もふまえて、障害者の職場定着に関する研究を、引続き進めていきます。グラフ2 障害別にみた職場定着率の推移と構成割合(障害者求人または一般求人に就職した者)就職1年11カ月10カ月9カ月8カ月7カ月6カ月5カ月4カ月3カ月2カ月1カ月(経過期間)71.5%68.0%60.8%49.3%0%100%80%60%40%20%(職場定着率)身体障害(1328人)知的障害(497人)精神障害(1206人)発達障害(242人)85.3%77.8%69.9%84.7%0%100%80%60%40%20%n=3273(人)132840.6%49715.2%120636.8%2427.4%発達障害精神障害知的障害身体障害0%100%80%60%40%20%n=3273(人)身体障害発達障害精神障害知的障害69614748540936526183931952002715一般求人障害非開示一般求人障害開示障害者求人

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