働く広場2018年10月号
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8働く広場 2018.10パソコンで入力し、3Dプリンターを操作するできあがったピースを取り出す竹串やブラシを使ってパーツを仕上げるんでいるのが「3Dプリンターによる玩具の試作品の造形補助」だ。作業が行われている台東区駒形のビル内事業所を訪ねた。テーブルを囲んでスタッフ8人と指導員が座り、竹串やブラシを手に半透明の黄色い物体から何かをこそぎ落としている。この物体が、3Dプリンターで制作された試作品パーツだそうだ。触らせてもらうと、消しゴムのような柔らかい部分と、プラスチックのような硬い部分がある。この柔らかい部分(サポート)だけをこそぎ落としていくと、最後には硬い部分だけが残り、きれいな完成パーツになる。まるで化石や遺跡品の発掘作業をしているようにも見える。指導役をつとめる川かわ股また伸しん也やさんによると、この作業の大きな注意点は、サポートに埋まった小さな突起などを、ポキッと折ってしまわないように気をつけることだという。「私自身も含め、全員が必ず失敗を経験します。口で説明するより、手の感覚で加減を直接身につけていくしかありません。あせらずじっくり取り組める人に向いているかもしれません」慣れた手つきで作業していた桜さくら井い玲りょうさん(19歳)は、入社2年目。1年目はやはり何度か折ってしまったそうだが、「いまはパーツの形によって、どのあたりに突起が埋まっているかわかるようになりました」。特別支援学校時代からアニメやゲーな際は聞き漏らしがないようメモを取り、わからないことはすぐに同室にいる支援員に相談しているそうだ。実は倉本さんは、パラ陸上競技の選手。中学時代から始め、2016年には日本知的障がい者陸上競技連盟が公認する400m日本記録を更新した。ところが先月、別の選手に記録を更新されてしまったという。「近く行われる大会で、必ず抜き返したいです」と倉本さん。練習は、休日の土日はもちろん、水曜日・木曜日も15時半で職場を早退して、千葉県の市川市や松戸市などで行っている。早退する際は、ほかのスタッフが業務のフォローに回ってくれている。「私の分まで仕事をしてくれている仲間たちのためにも、記録を伸ばし、2020年のパラリンピックに必ず出場したいです。みんなに『がんばれ』と応援してもらっているのがうれしいです」バンダイナムコウィルでは年に一度、アビリンピックやパラスポーツに出場したスタッフ、彼らの練習に合わせて業務のフォローに回ったスタッフら一人ひとりを表彰している。バンダイナムコウィルが現在受託している業務のなかで、最も高度な技術を含3Dプリンターを担当する桜井玲さんピースができあがる3Dプリンターで高度なパソコン操作も3Dプリンターによる玩具の試作品の造形補助

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