働く広場2018年10月号
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22働く広場 2018.10る医療措置や仕事の納期の厳守なども含めた自己管理です。それができないと、採用することも在宅就業も不可能です。難病の人の採用は、企業にとって慎重にならざるを得ません。それは、仕事が回らないことよりも、生命に関するリスクを少なからず企業が負うことになるためです。難病が進行性である場合は特に、ますます本人の自己管理と「自己責任」が必要となります。在宅社員を一括して管理するという発想はあまりなく、特に健康管理に関しては、自己管理能力を高めるための指導監督に焦点を当てます。自己管理を前提としているため、採用基準もその点を重視します。それと同時に、家族や地域の就労支援機関によって、本人の生活支援を継続的にできる体制が整っていることも大事なポイントになります。(2)人材確保人材の確保は、地域の就労支援機関と連携しながら進めます。熱意のあるハローワークやリハビリテーションセンターの職員たちの人脈をもとに、特に、障害者就業・生活支援センター(以下、「支援センター」)との連携・協力体制も確認しながら募集します。事前にいただいた応募書類をもとに、障害の特性や医療的な対応に関する知識を学習したうえで、応募者の地元で面接します。面接を通して、身体機能、疾患の進行状況、体調、就業意欲、自己管理能力、個別配慮の内容などを把握します。採用にあたっては、管理面の必要性を鑑かんがみ、本社から自宅を訪問する利便性を考慮して、交通機関の事情も加味します。また、採用時には自宅の仕事をする場所や機器などの環境の整備を検討します。(3)作業管理業務は、データ入力、イラストデザイン、Web制作の3部門があり、各部門のなかでさらにグループをつくり、行っています。作業進行に関しては、個別で行われるWeb会議、週1~2回の作業グループ会議で作業の進捗状況の共有と進行管理を行います。また、毎月1回の全体会議で、会社の指示連絡事項を通達し、在宅社員の意見なども吸い上げます。作業は、グループごとの自主的運営に委ねており、リーダーを通して情報管理や受注管理、仕事の割り振り、顧客への訪問や打合せを行います。こうしたことから、在宅社員は、メール、電話、Webなどの多様な通信手段を十分に活用するとともに、コミュニケーションに関する高いスキルが求められます。勤務時間は、フレックスタイムの導入22で午前8時~午後10時のなかで、週36時間を基準としています。こうした大きな時間幅を設けるのは、通院や休息・定休日などの生活介護の時間を優先するためです。生活を維持してこその就業であり、生活基盤の上に仕事を乗せるという視点です。業務の終了時には、日報の提出が必須です。本人や家族の状況を含めたさまざまな「報ほう・連れん・相そう」の内容から、本社の管理部は在宅社員の気分や体調の異変の有無を確認していきます。(4)仕事環境の改善在宅社員が作業しやすい物理的環境を整えることは、本人の病状に応じた身体・姿勢の調整、ミスの削減、効率性の高い作業遂行の実現に不可欠です。そのため、作業環境の改善にあたっては、生活支援を行う支援センターからの情報やスマートフォンによる動画撮影で見られる様子などを活用しています。協力をいただいている作業療法士から作業機器の配置や治工具の作成などについて助言を受けたり、支援センターに家庭訪問を依頼し指導してもらっています。難病などで身体機能に障害のある人の場合、作業環境をわずかでも改善することで、入力ミスが著しく減少する場合があります。

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