働く広場2018年10月号
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2働く広場 2018.10株式会社カムラック 代表取締役賀村 研就労継続支援A型事業の役割と今後近年、全国にある就労継続支援A型事業所のなかには、「外部収入が主体の事業構造ではなく、訓練等給付金が主体の経営をしている事業所」があるようです。「就労継続支援A型事業」とは、事業者と障害のある方が雇用契約を結んだうえで、就労の機会を提供するとともに、生産活動の機会の提供、一般就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練などの支援を行う福祉サービスです。この事業には、訓練等給付金というカタチで国から事業者に支払われるお金があります。これは主に、技能訓練や技術スタッフ、福祉スタッフの賃金、事業所の家賃や営業経費、業務を行ううえで必要な機材購入などの費用に充当されます。しかしながら、冒頭で述べたような事業者が、それを福祉サービス利用者(雇用契約を結んでいるので自社の社員)の賃金に充てている場合があるようです。本来、就労継続支援A型事業所(以下、「A型事業所」)の運営は、「外部収入」が「利用者の賃金」を上回っていることが前提であるにもかかわらずです。A型事業所の社会的役割新聞などの報道で記憶に新しい「A型事業所の経営破綻」、「利用者数百人の一斉解雇」。私もニュースを見ましたが、解雇された利用者のインタビューを聞いてたいへん驚き、「これはまずいぞ」と直感的に感じました。国は、2018(平成30)年4月から、障害者雇用義務の対象に精神障害者を加え、企業の法定雇用率を上げ、一般企業への就労を推し進めています。それ自体はよいことだと思いますが、もし、経営が破綻し、職を失ったA型事業所の利用者が一般企業に勤めることになったら、企業のルールや仕組みを理解して働くことができるのか、正直心配です。そもそも、経営破綻するような事業所は訓練等給付金頼りの経営基盤なので、極端にいえば、利用者は事業所に通うだけでお金が“貰える”状況だったと思われます。もちろん、すべてがそうだとはいい切れませんが、仕事があったとしても、内職のような単純作業と思われます。さて、そんな利用者の一人がインタビューに答えていたコメントで、印象に残っているのが、「ここなら安心して長く働けるのに」です。私はこのコメントに、事の重大性を感じました。彼らは、通うだけでお金が“貰える”ことに慣れ、それが当たり前になってしまったのかもしれないと感じたからです。しかし、これは決して彼らが悪いのではありません。認可事業者が長年かけて、障害者支援の名のもとに、結果的に「働かなくてもお金が“貰える”ととらえてしまうような状況」をつくり上げてしまったことが原因でしょう。A型事業を行う弊社でも、こうした方たちに仕事をお願いした際に「前のところはそこまで仕事をしなくてもお金を貰えた」、「ここはたいへんな仕事をさせられる割には給料が安い」、「障害者への理解がない」と誤解され、労働基準監督署、市や県の苦情センターに駆け込まれたこともありました。A型事業所利用者にとって、仕事内容や勤務時間は、就労を継続していくために大事な点だと思います。週20時間という短時間労働のA型事業所が多いなか、弊社は単純作業だけではな

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