働く広場2018年10月号
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6働く広場 2018.10服装に気をつけるようになり、仕事ぶりもよくなったという。バンダイナムコウィルは2015年から、宇都宮で就労移行支援事業所「みらいステーション」も運営している。ここからバンダイナムコグループへの就職者はまだ3人だが、働きたい人を支援する側と、雇用する企業側、両方の立場から障がい者雇用について深く理解できることが強みだという。「就労移行支援事業所には、さまざまな方がいらっしゃいます。障がい種別で一括りにできることはなく、一人ひとりの個性や長所・短所に合わせた職場環境をつくり、持てる力を引き出すことが大事だと実感しています」と藤沢さん。「私たち特例子会社は、グループ会社での直接雇用につなげることを目ざしています。『みらいステーション』でつちかったノウハウや改善例を伝えることで、ほかのグループ会社においても障がい者のみなさんが働けるよう環境づくりに活かしていきたいと強く思っています」スタッフの活動拠点がある港区の三田本社も訪れた。ビルの15階フロアでは30人ほどのスタッフがテーブルに座って熱心に作業をしている。よく見ると、ステンドグラスのような半透明の蝶ちょうの羽をつくっていた。小学生以上向けの工作キッがい者54人、精神障がい者5人、身体障がい者6人が働いている。事業所は東京都内に4カ所と栃木県に2カ所の6カ所だが、請け負う内容によって別会社で業務をすることもある。グループ会社10社以上から6分野25種類以上にものぼる業務を受託しているという。事業支援チームの田た中なか康やす生おさんは、「グループ会社も業務も数が多くて恵まれていますが、ここまで拡大するのに10年近くかかりました」と振り返る。「清掃業務からのスタートでしたが、ほかの業務を加えるまでに5年ほどかかりました。各グループ会社に出向いて説明をする際に、『特例子会社が何のために存在するのか』というところから理解してもらわなければいけませんでした」あるとき、社内でずっと棚上げにされていたデータ移行の入力作業にトライさせてもらったところ、期待以上の評価を得られた。その後も、社員が残業で行っていた事務作業を探し出し、営業活動を続けながら実績を積み重ねた。3年ぐらい前から「これもできる?」というグループ会社からの提案が急速に増えたという。一方で、スタッフの働きやすい環境を整える努力も欠かせない。職場には4、5人に1人の割合で障害者職業生活相談員の資格を持つ支援員を置き、一人ひとりの様子を細やかに見守り、指導する体制をとっている。支援員には60代の高齢者もいて、前職のキャリアを活かす人がいる一方、別業種から転職してきた人もいる。経営管理部ゼネラルマネージャーの藤ふじ沢さわ聖せい子こさんが支援員について説明してくれた。「これまで障がい者と接した経験のない方でも、入社後に研修を受けてもらいますので、基本的には人柄を見て採用させていただいています。職場の昼休みには、みんなでカードゲームを楽しむなど家族的な雰囲気です。あるときはビシッと叱り、あるときはプライベートな悩みごとも聞いてくれるような、大事な存在になっているようです」これまでは地域障害者職業センターから定期的に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣してもらっていたが、今年から社員2人が企業在籍型ジョブコーチになったことで、日ごろからスタッフの様子を把握しやすくなったという。仕事上のアドバイスをしたり、調子が悪そうなときに精神的なサポートを行ったりしている。「スタッフのみなさんに『自分のことをちゃんと見てくれている』ということが伝わるためか、変化が見えるケースも増えています」ある女性スタッフは、自分の身なりをあまり気にせず、寝ぐせのついた髪で出社してくることが多かった。そこで「みだしなみは大事だよ」とアドバイスすると、休み時間にブラシで髪をとかしたり特定分野で秀でた能力も発揮事業支援チームマネージャーの田中康生さん

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