エルダー2017年10月号
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エルダー11特集平成29年度「高年齢者雇用開発コンテスト」また、主力部門である生鮮部門における従業員教育は重要な課題であることから、現場で高齢従業員と若手従業員がペアになり、一緒に働くことで高齢従業員の豊富な経験や技術の継承を図っている。特に鮮魚に関しては季節や天候を考慮した仕入れの判断が求められ、マニュアル化できない高齢従業員の経験と勘を若手従業員は肌で学ぶことができる。ペア就労の効果として、若手従業員に職人としてのプライドが芽生えるとともに、若い世代から「おやかた」として敬われることで高齢従業員は新たな働きがいを見出している。(3)職場環境の改善鮮魚の加工・調理は体力が必要であるため、特に高齢従業員にとっては肉体的負担が大きいことから、「うろこ取り器」、「皮かわ剥はぎ器」、「骨ほね挽びき器」、「大型魚の3枚卸おろし器」などの機器を積極的に導入して、作業工程の機械化による高齢従業員の作業負担の軽減を図った。また、鮮魚・青果・惣菜の加工場を立ち上げ、製造工程を集中させることで生産性のアップを目ざした。直近決算3カ年で生産性が18・1%向上した背景には、知識と技術を遺い憾かんなく発揮し製品の品質向上に貢献してきた高齢従業員の姿がある。(4)従業員の声など嘱託社員のAさん(69歳・男性)は、8時間のフルタイム勤務をこなしている。鮮魚部バイヤーとして早朝から市場で買つけの後、店舗で販売の仕事に従事しており、「毎日が忙しく充実している」と語る。また、パートとして働くBさん(70歳・女性)は1日6時間勤務、調理師の経験を活かして、新メニューの開発や若手への技術指導を行っている。本社に併設する店舗で鮮魚の加工・調理作業を行っているCさん(66歳・男性)は長年、和食料理の割烹で板前として勤務していたが、3年ほど前にパート従業員として採用され現在に至っている。Cさんは40代の中堅社員とペアを組んで作業を行い、OJTを通じて彼が持つ経験・知識を中堅社員に継承させている。Cさんは「板前の経験を活かして新たな惣菜を提案するなど、これまでの経験・知識を活かして仕事ができることにやりがいを感じる」と語った。高齢従業員の真しん摯しな働きぶりは若い世代を鼓舞するだけでなく、「高齢の方が増えたことで早朝や都合の悪い時間に作業を変わってもらえるので、子育てしながらでも働けるようになった」という声に代表されるように、子育て世代からも歓迎されている。(5)今後の展望 同社のユニークな取組みの一つに地域を巻き込んだ活動がある。それは、高齢化した漁業者の支援のため、運営と継続が厳しい市場の運営を引き受けることを目的に「株式会社志し度ど魚市」を立ち上げたことである。獲れた魚をすべて買い取ることによって、どこにも負けない鮮度と価格を実現、マスコミなどでも取り上げられ同社の知名度アップに一役買った。今後の課題は、少子高齢化のなか、歩くことが不自由などの理由から買い物弱者となっている人たちへの対策があげられる。また、障害者雇用も視野に置いている。常に時代を先駆ける雇用を実現するため、同社は次の一手を考え続けている。Cさんの作業風景。普段は40代従業員とペアになり技術を伝承している高齢従業員の作業負担を軽減した魚のうろこ取り器

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