エルダー2017年10月号
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高齢者に聞くエルダー37LECに入って1年ほど経ったころのことです。不況の影響で就職率が悪化したとき、民間でも公的機関の職業訓練校のように職業訓練をやってほしいという要請があり、LECがそれに手をあげました。講師不足で忙しい日々でしたが、気力は充実していました。設備管理会社も人手不足に直面しており、電気工事士やボイラー技士などの資格を持った人材は重宝されることから、3カ月におよぶ職業訓練に人が集まってきました。受講生には、居酒屋で働いている人、働いていた町工場が倒産した人、異色なところではバーテンダーもいました。人生に悩んでいるとき、「何か資格があれば新しい道が開けるかもしれない」とみんな必死でしたから、こちらも力が入りました。私たち講師は、技術指導はもちろん、自分の経験をもとに「講話」と称して経験談を話すことがありました。そこで私がよく話したのは、資格を取って就職する際、どうせなら一流企業を目ざせということでした。私の経験をふまえれば、日本では大企業の方が働く条件がより整備されているということがあります。実際、私に背中を押されて果敢に挑戦して一流企業へ就職した人もいて、自分のことのように嬉しかったことをいまでも覚えています。私がいまLECで行っている仕事は、基本的に職業訓練のころと変わりません。必要な資格を確実に取れるように真剣に受講者と向き合っています。受講者の能力は千差万別ですが、やる気さえあれば、電気回路図がまったく書けなかった人でも各種試験に合格することも可能です。やる気を引き出すというのも講師の役目です。設備管理会社での働き方は2年前もいまも変則的です。私が担当する講習は日時が決まっており、毎年4月、技術系の新入社員の十数人を対象に、研修センターで各種受験講座を開いています。若い人たちの性格は、面白いことに年によってまったく違います。活発な人が集まっていることもあれば、おとなしい人が集まっている年もあります。基本的に真面目な印象があり、みんな熱心です。昔の同僚に会うと、技術屋の風岡さんが講師の仕事をしていることに驚かれるという。実は風岡さん、大学では教職こそとらなかったが、一時は教師を目ざして教育心理学を学んだこともある。第二の人生で初心に返った。69歳まで仕事があるというのも、過去の経験や取得した資格を生かしたいという強い気持ちがあったからだと思います。そして何よりも健康であったからです。こう見えてもスポーツマンで、高校時代はサッカーをやっていましたし、55歳で退職するまではテニスをやっていました。ただテニスは相手が必要ですから、退職すると相手が見つからないこともあって、ひとりでもできるマラソンに方向転換しました。以来、ホノルルマラソンも出ましたし、東京マラソンにも3回出場しています。地元の湘南国際マラソンでは、第1回から欠かさず走っています。マラソンに出るために、週1、2回はジョギングをしています。海岸近くに住んでいますので、海岸に至る遊歩道を走るのはとても気持ちがよく、リラックスできます。マラソンのおかげで何とか健康を保っています。健康と同じくらいに余暇の過ごし方も大切だと思っています。たいした趣味はありませんが、若いころからオーディオの機械をつくるのが好きです。アマチュア無線をやっていたので無線や機械を学生時代からいじっていました。自分がつくった機械で音楽を聴くのは最高です。よく「いつまで働くのか」と聞かれます。まだまだ働くつもりですが、「受講される方の役に立っている」と自他共に判断できる間は続けるというのが実情かと思います。マラソンも同じように制限時間内でゴールできるうちは続けるつもりです。健康管理と余暇の時間を大切に技術と心を伝承するよろこび

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