エルダー2017年10月号
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2017.102経済協力開発機構(OECD)東京センター所長村上由美子さん―村上さんは2013(平成25)年に、民間企業出身者として初めてOECD東京センター所長に就任されました。東京センターはOECDのなかでどのような役割をになっていますか。村上 OECDは、自由主義経済、民主主義という価値を共有する国々が、その価値に基づく経済発展のために知恵を出し合い、幅広く政策を議論するプラットフォームとしての役割をにない、さまざまな研究や各国政府にから得られる知見を海外に発信したり、他国から学べる経済政策を日本政府や産業界と共有することにより、よりよい経済および社会発展を促進するための提言活動を行っています。また、近年は日本が世界の先頭を走っている少子高齢化への対応という面での発信力が期待されています。とくに少子高齢化では、日本は課題先進国といわれていますが、いずれは多くの国がこの課題に向き合わなければなりません。その意味で日本がどのような政対する提言活動を行っています。第二次大戦後の米国による欧州復興支援から始まった歴史があるので、加盟35カ国の多くは北米・欧州で占められており、アジアからの加盟国は日本(1964(昭和39)年加盟)と韓国(1996年加盟)だけです。 東京センターは、OECDに対する理解をアジア・太平洋地域で促進するために1973年に設立されました。OECDセンターは、東京のほかにベルリン、ワシントン、メキシコシティの4カ所に設置されていますが、東京センターでは、講演会、政策討論会、記者会見、日本語ウェブサイト、翻訳出版物を通じて、OECDの活動・研究成果の広報とともに、国内各層との知的共同作業を行っています。―世界経済の発展におけるアジアの重要性が高まるなか、東京センターの役割は大きくなっているのでしょうね。村上 はい。東京センターは日本の経済発展策を実行するかが、世界から注目されています。―その日本が直面する少子高齢化や人口減少に関連して、村上さんには『武器としての人口減社会』(光文社新書、2016年)というご著書があります。この書名からもうかがわれますが、村上さんは、人口減を日本にとっての好機ととらえていらっしゃいますね。村上 いまICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの発達が急速に進み、過去の産業革命を起こした技術変化に匹敵する、あるいはそれ以上に劇的な変革が、世界規模で起こりつつあります。 このICT-AI革命は、人々の仕事のしくみを大きく変え、日々新しい職種が誕生する一方、多くの仕事が機械に置き換えられるため、短期的には仕事を失う人が増大するリスクをはらんでいます。 いま欧米諸国では失業率が恒常的に高く、とくに若年層の失業が深刻な社会問題となっています。一方、新興諸国では人口が増え続けています。これらの国々では雇用創出が最優先課題であり、ICT-AI革命が失業問題を悪化させるおそれがあります。 ところが日本は失業率が極めて低く、それテクノロジーの活用で人口減少は日本にとって好機となる

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