エルダー2017年10月号
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職場づくり職場づくり働ける職場づくりに職場づくり職場づくり働ける働けるで安全健康エルダー45をしている際に、塗料が1階玄関の「ひさし」の上に垂れていたのをふき取ることになった。移動はしごを玄関先の土盛りに立て掛け、1・7mほど上がったところで塗料のふき取りを行っていたところ、はしごの脚部が後方に移動し、被災者は仰向けの状態で足、腰、頭の順にアスファルト舗装の上に転落、後頭部を強打し8日後に死亡した。【災害発生要因】①はしごの設置場所の地面が傾斜していた。階段状に土盛りされた状態で、はしごに乗ったことにより、重量がかかって後方に移動したと推定。②はしご上端をロープで固定する、敷板ですべり止めをするなど、はしご転位を防止する措置を行っていなかった。③保護帽を着用していなかった。④安全に関する特段の指導・作業の監視を行っていなかった。【類似災害防止策検討時の留意点】(1)まず、移動はしごの使用を回避できないかを検討します(ローリングタワー、可搬式作業台、手すり付き脚立、高所作業車など広い作業床面、踏みさんを有する用具の検討)。(2)移動はしご使用を回避できない場合①はしご関連の法令を遵守する移動はしごによる墜落等による危険の防止について、労働安全衛生規則第527条に規定されています。②刑事責任に加え、民事責任も追及されることを想定しておく③作業手順を作成、指導教育を怠らない墜落災害の原因と対策の基本的な事項について、全国建設業労災互助会、労働安全衛生総合研究所の共同作成による資料を一部編集して掲載します(図表5)。定常作業に加えて非定常作業についても作業手順に織り込むことをおすすめします。3 トラック(荷役作業)起因の災害図表1に示したように、トラック荷役作業中に発生する墜落・転落災害は多く、トラックの荷台からの墜落・転落が約28%を占めています。死亡災害発生時の墜落の高さは2m未満が60%で保護帽未着用者は67%にも達し、被災場所は荷主、客先が73%となっています。厚生労働省は「陸上貨物運送業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日基発第0325第1号)を公表しています。陸運事業者側、荷主側などそれぞれの側での実施事項が区別して記載されています。特に荷主側等荷役作業実施個所に、あおりに設置する簡易作業床、移動式プラットホーム、安全帯取付設備、昇降設備などの充実が喫緊の課題です。荷役作業者への指導教育の強化も求められています。さまざまな仕事のなかで、脚立・はしご・トラック荷台での作業は行われるでしょう。「1メートルは一命取る」ともいわれます。安全を確保、確認してから作業する意識を持つようにしましょう。この事例は、転位防止措置をしないで、高さ1・7mの比較的低い位置で、保護帽なしで作業し、死亡しています。作業員を死亡させて、刑事責任、賠償責任を追及され、また、道義的責任を感じ、一生苦しみ続けることになります。作業者が指示を無視したのであれば、作業者責任が問われます。「なぜ保護帽をしないのか」。管理監督者側も、作業者側もともに、反省し、その真の要因を検討し、今後再発させないために、是正することが必要です。また、安全教育の強化、ルール順守の風土育成なども求められます。図表5 墜落災害の原因と基本的対策出典:(一社)全国建設業労災互助会、(独法)労働安全衛生総合研究所   「墜落災害防止のための移動はしごの使用法等について」から著者作成原因基本的対策①強度不足はしごまたは立てかけ先の強度不足・ 信頼性のあるはしご使用(JIS)・ 使用前の点検、異常品は使わない・ 強度十分なものに立て掛ける・ 設置角度75度で使用する②はしごの固定なし・ はしごの上方と下方を固定する・ 補助者が支える・ はしごの上端を上端床から60cm以上出す③不安全行動はしごを背にして昇降する、重い荷物を片手に持ち昇降するなど・ 安全教育の実施・ 昇降時に大きな荷物を持たない・ はしごを背にして昇降しない(3点支持)④高所作業不対応法令違反・ 原則として高さ2m以上のはしご作業は行わない (作業床設置、安全帯など使用)⑤環境要因設置面がぬかるんでいたり、滑りやすい場所、強風など・ 設置面の事前点検、めり込みや滑りの想定される個所では使用しない・ 強風などの悪天候では作業しない

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