エルダー2017年10月号
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エルダー3もたらしたテクノロジーのほぼすべての分野で、特許数が最も多い上位3カ国に入っているイノベーション大国であることなどがあげられます。 もっとも、こうした強みを活かせているかが問題です。例えば、資金は潤沢でも、それが成長への投資に十分に回っているかという金融システムの問題があります。また、特許数は多くても、それが商品化され、市場価値を生み出しているかという点では、かなり課スキルです。テクノロジーの進化に対応できる基礎的な能力が優れている。OECDが実施しているPIAAC ※1という調査があります。16〜65歳までの男女を対象とした成人技能調査ですが、日本人は読解力と数的思考力のテストで世界1位、しかもほぼすべての年齢層でほかの国々を上回っています。特に55〜65歳の能力が高く、各国で30歳前後をピークにスキルは徐々に低下する傾向が見られますが、日本人は数的思考力で年齢間の差が小さく、長期にわたって高い能力を維持できていることがわかります。 また、若年層も、15歳の生徒を対象としたPISA ※2という調査において、日本は数的理解力、読解力、科学的理解力の3科目でいずれもトップクラスの成績を収めています。 そのほかの日本の強みとしては、企業の成長への投資に必要な資金が潤沢にあること、今世紀に入ってから大きな経済インパクトを題があるのは事実です。―雇用システムはどうお考えですか。村上 先ほど紹介したOECDの調査では、中高年の能力の高さが現れていますが、その理由の一つとして、日本の高度な基礎教育システムに加え、これまで日本の多くの企業が現場で丁寧に職業能力開発を行ってきたことがあげられます。長期的な人事戦略に基づき、会社が社員を育成してきました。また、競争より和を尊重し、一定のレベルまではみんなに加えて偶然にもICT-AI革命と人口減少が同時進行で起きています。目の前の労働力不足を、新しいテクノロジーを駆使して解決できる条件が整っているのです。人口減はたしかに経済成長面でネガティブに働く面はありますが、日本ではこのピンチをチャンスに変える条件が整っています。こんな条件を備えている国は日本だけです。―失業率の低さのほかに、日本が持っている強みはなんでしょうか。村上 一番の強みは日本人の持っている高い日本人のスキルの高さは世界一それを活かせる雇用システムの改革を※1:PIAAC……国際成人力調査。各国の成人を対象に「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」を測定する※2:PISA……「読解力」、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」による国際的な学習到達度に関する調査

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