エルダー2017年10月号
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が見えてきつつあります。一方で、定年まで、まだ10年くらいあるので、「今ここ」で「気づく」ことができれば、将来に向けて、やりたいこと、やれること、大切にしたいことがたくさん発見できます。それだけに、希望者が多く、総合系グローバル職員、総合系エリア職員とも、4回ずつ実施します。45〜54歳コースにかぎりませんが、自分たちよりも少し先に継続雇用職員となった先輩が講師を務めることから、社内の事情をふまえた、深い話もできます。〈55〜60歳コース〉55歳を過ぎると、役割も変わってきます。課長、部長だった職員も、役職を降ります。定年も数年後に迫っています。役割が変わるなかで、いかにして自分らしく働くか、また、働くうえで自分が大切にしていて譲れないことは何なのかを考えます。〈ライフデザイン研修以外の取組み〉中高年だけを特に意識したものではありませんが、同社では、階層別研修や部門別研修のほか、職員一人ひとりが「強み」を発揮して自律的に「個」の力を高められるよう、能力開発支援メニューやキャリア形成支援プログラムを用意しています。また、①活動のフィールドを広げる「職員登用・区分変更制度」や、②社内公募制度である「ジョブ・チャレンジ制度」、③各地区の職員と本社部門の職員が双方に人事交流を行う「ジョブ交流制度」など、職員のキャリア形成を支援するための制度を設けています。ダイバーシティ推進にも取り組んでおり、同社ホームページに、「ダイバーシティ推進の取組み」について、PDFで掲載されています。立花氏、森合氏に、ライフデザイン研修の企画・運営、さらに講師をされるなかで、苦労されていることについて、おたずねしました。お2人によると、「開始当初は、なかなかポジティブにとらえてもらえず苦労した」とのこと。かつては、黄たそ昏がれ研修と揶や揄ゆされるなど、やりにくさを感じることもあったそうですが、あえて希望者応募型としたことや、60歳以降も働くことが当たり前になるなかで、そのようなことは徐々になくなってきました。いまでは、「これからの自分と家族の働き方や生き方のための研修」というとらえ方をされることが多くなり、数多くの職員が研修を希望するようになり、受講後も「研修を受けさせてもらって『ありがとう』」という反応が多いそうです。ヒアリングを終えて3その一方で、ほかの年代に比べて人数の多い50歳前後の総合系グローバル職員に対する研修の機会をさらに増やすことが課題となっているそうです。同社の例をもとに、講師の選び方について振り返ってみると、内部講師の場合は、社内の事情を知っているだけでなく、キャリアについても学んでいることが求められます。また、それ以前の問題として、そもそも社員から信頼される人でなければいけません。外部講師とは別のハードルもありますが、その一方で、企業の考えを反映しやすいという利点もあります。さらに、社内に、キャリアについての研修の知識や経験が蓄積されるなど、研修を内製化することによって得られるものもあります。立花氏、森合氏のお話を聞き、ハードルも高く苦労もあるけれども、それだけに、得るものは大きいのではないか、と感じました。生涯現役を実現するための生涯現役を実現するためのキャリア開発支援エルダー49浅野浩美(あさの・ひろみ)1961年生まれ。一橋大学社会学部卒。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻修了。厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室長などを経て、高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長。「65歳超雇用推進マニュアル全体版」などを執筆。博士(システムズ・マネジメント)。※本稿の見解のうち意見に関する部分は筆者の個人的な意見であり、筆者の所属する組織の見解としてオーソライズされているものではありません。

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