エルダー2017年10月号
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2017.1062「『他社では製品化できないから』といわれて、仕事の依頼受けるのは職人として嬉しいこと」と新しく考案した金型のチェックをする15歳から今日まで63年間。現在の職場でも優秀な技能者に恵まれ、技能の追求に熱中しています。この仕事は人生の友です得意とする小沢工業株式会社本社工場(神奈川県川崎市)の工場長だ。冒頭のコメントにある15歳で入社した会社とは株式会社東芝である。1954(昭和29)年、東京芝浦電気株式会社(現・株式会社東芝)の技能者養成所に入った。「まだ日本全体が貧しく、中学校でもクラスの6割は就職して家計を助ける時代。“東芝で技能工の企業内養成所が開設される。工業高校の勉強が3年間できて給料ももらえるから受けてみろ”と先生にすすめられ、1期生43人のなかに採用されました。800人を超える応募があったそうですから、運がよかったんです」めきめきと技術に習熟し、技術に優れた先輩たちに導かれて現場で頭角を現す。高度成長期の幕開けにともない金属プレスの技術は電化製品の量産化をけん引していった。ブラウン管テレビや電子レンジ、半導体などの開発、量産化に向けて複雑な金型や部品をつくり出してきた。40年にわたる東芝の勤務だった。職人だからこそ理論も大切に1994年に東芝を定年退職してから現在まで小沢工業本社工場の工場長を務める倉井さんだが、両社で手がけた具体的な技術内容の詳述はさける。独創性が要求される金属プレス加工は企業秘密の保持が欠かせない分野だからだ。「金属プレス加工には大別して『抜き・曲げ・絞り』とありますが、なかでも絞りは最も独創性が問われます。金型の設計にはじまり仕上げまで、職人は勘だけでやっているように思われがちですが、コストを考えて効率的に数をつくることが重要。絶えず勉強をして理論も身につけなければいけません」絞り加工の例を61ページの写真に掲げた。凸型の金型(パンチ)

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