エルダー2017年11月号
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2017.1110また、これまで定年を2度延長してきたが、その際の従業員の等級などに変更はなく、このため賃金についても減額などの変更はない。なお、石川社長は将来的には定年の廃止を見据えている。体力には個人差があるので、「元気で働ける人にはいつまでも働いてほしいし、退職時期は一律で決めるのでなく、従業員自身が決めるようにしたい」という。◦「短時間正従業員制度」の導入同社では1年契約のパートタイム従業員が8割を占めていた。その処遇にあたっては、評価の基準がなかったことから、石川社長が考えて評価し、時間給に反映させていた。しかし、従業員のなかには長期雇用を希望し、有期契約からの不安やストレスを感じ、基準が明確でない賃金決定に不満を持つ人が少なからずいて、高い離職率の一因にもなっていた。こうした問題を解決するために2008年に導入したのが、雇用期間の定めのない「短時間正従業員制度」である。導入にあたっては、「職業能力評価基準」、「人事考課方法」、「従業員資格等級」、「賃金表」を作成し、有期1年契約の短時間従業員から期間の定めのない短時間正従業員に転換する際の「転換手続き」を定めた。週労働時間は28時間で、1日あたり6時間前後働く。パートタイム従業員は補助1級、同2級からスタートし、その後10級から1級まで昇級できるが、最上位の1級になると短時間正従業員への転換を申請することができる。「この制度の導入で、従業員の就労意欲はさらに上がった」と、石川社長は述べる。また、「職業能力評価基準」や「人事考課方法」を定めたことで、人事考課基準が明確化され、従業員のがんばりがしっかりと評価されるようになり、職務遂行能力やモチベーションの向上にもつながったという。(2)能力開発に関する改善食堂の職務は次のように区分されている。「煮炊き」、「揚げ物」、「冷食」(おかずと盛付け)、「洗い場」および「レジ」である。以前、これらの職務は固定されていたが、従業員間の大きな不満の種となっていた。「『私はメインの煮炊きの仕事なのに、どうしてほかの職務と賃金は同じなのか』とたずねる人もいました。それをなくして、和気あいあいと働けるようにするために取り入れたのが職務ローテーションです」(石川社長)。人によってはこの職務だけに従事したいという人もいる。煮炊きは売上げを左右する重要な職務であるにもかかわらず、前述のように賃金に不満を持つ人が出てくる一方で、後から入社した人は洗い場などに固定される人も出てくる。この職務の固定化は従業員の融和に大きな足かせとなり、定着率低下の大きな要因となっていた。そこで、2008年1月に「いつまでも働き続けられる、働きやすい職場をつくろう」をスローガンに据えて、段階的に改善を進めることを従業員に宣言した。改善にあたっては経営者も現場に入り、現場スタッフと定期的に打合せを行うようにした。こうして職務ローテーションが実施され、あらかじめ当日の職務を決めるようになった。この職務ローテーションはだれもがすべての職務をこなせるようになる「多能化」を目ざすものだが、その結石川浩一代表取締役

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