エルダー2017年11月号
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高齢者に聞く第 回43 丸田孝明さん(68歳)は、大手旅行会社を定年退職後、幅広い人脈を活かし、コミュニティビジネスの起業に挑戦、伊豆諸島の新鮮な食材を届ける「調布アイランドプロジェクト」を立ち上げた。東京・調布を拠点に島の人たちと心の通った交流事業を続ける丸田さんが、生涯現役の心意気を語る。一般社団法人調布アイランド代表理事丸田孝たか明あきさん2017.1134経験こそ自分を磨く力私は山形県鶴つる岡おか市の生まれです。地元の高校を卒業すると、株式会社日本交通公社(現・株式会社ジェイティービー)に入社しました。東京で試験を受けたのできっと東京で勤務できるとワクワクしていたら、地元の山形市の支店へ配属されました。正直ちょっとがっかりしましたが、後から考えればそこで過ごした13年間が私の原点となったような気がします。全員で十数人の小さな店舗でしたから、ここで旅行業務の基礎を叩き込まれました。最初は窓口の仕事でしたが、その後、周遊券の発行にたずさわりました。おかげで日本国内の地理全般が頭に入り、全国の観光地の情報にも精通することができました。2年ほど周遊券づくりに専念した後は営業へ回り、母校の修学旅行の提案なども手がけました。当時はまだ珍しかった海外旅行の添乗も命じられ、若いうちにさまざまな経験をさせてもらえたことには感謝しています。とはいうものの都会への憧れは強く、転勤希望はずっと出し続けていました。念願かなって、31歳になったとき、転勤が決まりましたが、なんといきなり本社勤務でした。現場で鍛えられるのかと思ったら、団体顧客部という部署で団体旅行の営業のための仕組みづくりに従事することになりました。その後丸田さんは新設のクリエイティブ企画室の精鋭メンバーとなり、会社の10年後を視野に、さまざまな企画を生み出し続けた。現場に戻り、旅館やホテルとの交渉も経験するが、このときの出会いが、その後の伊豆の島々との縁につながるのだから人生は面白い。ひらめきから第二の人生が始まる団体旅行のシミュレーションや仕組みづくりを進めるなかで、顧客のニーズのつかみ方を体得しました。コンピュータでの見積作成などの実績を買われたのか、47歳で会社の中央研修センターの講師を拝命、60歳の定年まで人材育成の仕事を続けました。講師時代には顧客満足という考え方を学びました。いまでこそ「CS(顧客満足)」という言葉が一般的になりましたが当時は新しい視点で、働きながら常に斬新な知識に触れることができたのは幸せでした。いよいよ定年を迎え、13年間の講師経験を活かして、フリーとしてやっていく道も考えましたが、需要は見込めませんでした。いろいろ模索していた折、自宅のある調布市が開催していた「地域デビュー歓迎会」に参加する機会があり、コミュニティビジネスを支援する組織を紹介され、迷うことなく入会しました。会の仲間たちと一杯やりながら雑談していたときのことです。せっかく調布には飛行場

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