エルダー2017年11月号
37/68

高齢者に聞くエルダー35があって、伊豆七島の大島、新にい島じま、神こう津づ島しまに定期便が就航しているのだから、島の新鮮な魚や野菜を使ってビジネスができないかとひらめいた私は仲間に提案しました。しかし、当時の調布飛行場は施設も古かったため、調布市民にも周知されておらず、仲間の反応もよくありません。それでもあきらめず何度も持論をぶつけました。旅行屋の勘というのでしょうか。私の頭のなかでは調布という街と伊豆の島々が自然につながりました。丸田さんがあきらめることなく仲間に訴えるうちに賛同するメンバーが現れ「調布飛行場でつながる島々との物流をスタートにした交流プラン」の提案に漕ぎつけた。プレゼンテーションの講師でもあった丸田さんの力が大いに発揮され、調布コミュニティビジネスコンペで最優秀賞を獲得、実現の道が見えてきた。縁の糸が紡がれてさっそく、調布の飲食店を調査したところ、島の新鮮な食材の入手を歓迎するという声が聞こえてきました。かつて体得したニーズのつかみ方がこの場面でも大いに役立ちました。調布側にはニーズがあることを確信して、2人の仲間と一緒に島に飛ぶことにしました。といってもこのときは予算の関係で、熱海から船でまず大島を目ざしました。大島で力を貸してくださったのが、JTB時代から知己であるホテルの支配人でした。大島名産のアシタバ農家を紹介していただき、アシタバの出荷が叶いました。PRのために調布の市場でお浸しの試食販売も試みました。いまやアシタバ料理は調布の街にすっかり根づいています。次に新島に向かいました。鮮魚は梱包と発送という大きな問題がありましたが、新島商工会が快く協力してくれました。このとき奔走してくださったのは、事前調査で知り合った島の商工会の役員の方でした。島の人は信頼関係を大変重んじます。私がJTBを定年まで勤めあげたことも信用を得た一つではないかと思っています。新島から魚を送ってもらうことが決まった矢先に、定置網の禁漁時期と重なり、半年じっと解禁を待った後、新島から魚が届きました。時宜を得た思いで、法人格を取得し、「一般社団法人調布アイランド」を立ち上げました。62歳の出発でした。調布アイランドという名前には、調布と伊豆諸島の価値を融合して、そこから「新たな価値」を想像することで、2つの地域の活性化に貢献していきたいという思いが込められています。丸田さんは、根っからの調布っ子ではない。「よそ者だからこそ、調布の新しい魅力が発見できた」と謙遜する。笑顔をつなげる喜び調布と大島は25分、いまは三み宅やけ島じまも50分で就航しています。神津島からも魚やアシタバが届くようになり、4つの島から新鮮な贈り物がほぼ毎日やってきます。野菜は火曜日と金曜日、魚は毎日届きますが、飛行機が小型のため天候の影響をもろに受けます。便のある日には午前10時ごろから調布飛行場に出かけ、荷物が到着すると調布市内の飲食店に2時間ほどかけて配達しています。午後からは毎日注文を取り、メールやLINEを使って島にオーダーを流すのが日課です。休みはほとんどありません。身体が丈夫でないと続けられない仕事ですが、健康管理といえば近所をウォーキングするくらいです。前職のころはよく釣りに出かけましたが、最近はその時間もありません。これといった趣味はありませんが、仕事を通じての新しい出会いが私の元気の源になっています。飛び切り新鮮な食材を一流の料理人が調理して調布ブランドが誕生しました。おいしいものを食べれば自然に笑顔が生まれます。定年のない仕事ですが、次の人にバトンを渡すことも頭の片隅に置いています。ただ、次々と新しい企画のアイデアが生まれており、みんなの笑顔をつなぐバトンを手放すのはまだまだずっと先ですね。

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る