エルダー2017年11月号
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2017.112タワーレコード株式会社総務人事本部本部長菅 直己さん―設立当初から65歳定年制を導入されています。当時は珍しかったと思いますが、どのような経緯で導入されたのでしょうか。菅 当社は1981(昭和56)年に米国のタワーレコードの現地法人として設立されましたが、実は65歳定年制もそのときに始まっています。もともと米国には「定年」という概念がありません。しかしながら「日本には定年制があるよ」という話になり、便宜的に65歳の規定をつくったと聞いております。当時の企業の一般的な定年年齢は55歳が主流ですが、創業メンバーは20代前半ですから定年といわれてもピンとこない。「65歳もありかな」という感じでつくったのだと思います。―あまり意識せずにつくったということですが、その後の時代の流れのなかで、本当に65歳でいいのかという議論は起きなかったのでしょうか。菅 起きませんでした。60歳を超えた社員は現在数えるほどで、65歳を迎えた者もいません。現在の正社員は約400人で、社員の平均年齢は40歳です。1995(平成7)年に当時日本で売場面積が最大級のCDショップを渋谷にオープンしましたが、90年から95年にかけて大量に中途採用をした世代が45〜55歳になり、一つのボリュームゾーンになっています。今後1〜2年で60歳を迎える社員が2〜3人ずつ増え、その後は毎年5〜6人ずつ発生する見込みです。―60歳を超えても働き方は基本的に変わらないのでしょうか。実際にどんな職場で活躍されているのですか。菅 当社の事業領域は店頭でのCDなどの販売とオンラインショッピングが大きな柱です。特に全国に80店舗(10月末現在)ある店頭での小売が主力です。高齢の社員は比較的本部に多いですが、もちろん店舗でも働いています。まさに私自身が60歳になりますが、役職定年もありませんし、実力を備えていればその役職を65歳までまっとうすることになります。 例えば店舗でも、長年の経験で蓄積された豊富な知識を持つ62歳の社員が、ジャズの売場で働いています。ジャズやクラシックなどの音楽領域は、専門知識がものをいう世界です。お客さまも一般的にご高齢の方が多く、その層の方々はスタッフから話を聞いたり、実際に手にとって確かめてからCDを買いたいという人もいます。その際に若い販売スタッフの話を聞いて買うよりも、専門知識を持つ同世代のスタッフの話を聞いてCDを買うほうが安心感があります。高齢化に合わせて購買層の年齢も高くなりつつありますし、今後はそういうスタッフが力を発揮する機会が増えると思います。―高齢だから仕事をするのがむずかしくなるというより、つちかった経験と知識が活かせるという点では、働きがい、やりがいがありますね。菅 そうです。小売業などサービス業の世界に「サティスファクション・ミラー」という言葉があります。「顧客満足」が顧客との接点にいる従業員の満足を高め、満足した従業員がさらに魅力的なサービスを提供することで顧客の満足をさらに高めるという意味で定年の65歳まで役職定年なく役割をまっとう店舗でも豊富な音楽知識を武器に活躍

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