エルダー2017年11月号
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2017.1142加や加齢により上気道が容易に圧迫され、OSAが生じることがあります。 そのほかに、特にOSAを悪化させる要因として重大なのは、飲酒です。寝つきをよくする手段として寝酒を習慣にしている人も多くいますが、お酒は筋肉を緩める作用があり、【夜に脳を覚醒させ睡眠を妨害する要因】 パソコンやテレビ、スマートフォンなどの電子機器の長時間の使用は、睡眠の質の低下につながります。これらの電子機器が発する明るい光を見ることにより、睡眠のリズムをつくるメラトニンというホルモンが抑制されます。特に、夜や就寝前の電子機器の使用は睡眠を強く妨げます。 また、帰宅後も仕事に追われるという状態が気持ちの焦りにつながり、睡眠を妨害することもあります。Aさんの場合も、帰宅後遅い時刻までのパソコンでの作業が脳を覚醒させ、寝つきにくさや睡眠の質の低下につながっていた可能性があります。【生活習慣:活動量の低下、酒、タバコなど】 運動不足や、昼間あまり日光を浴びない生活も、睡眠・覚醒のリズムを妨害し、睡眠の質を低下させます。また、タバコは交感神経を刺激し、睡眠を妨害します。就寝直前の喫煙は特に、悪影響があったと考えられます。酒は体内で分解される途中、脳を刺激し覚醒する作用のある物質になるほか、利尿作用もあるため、OSAを悪化させる以外の働きからも、夜間の中途覚醒や頻尿を起こしていたと考えられます。 【アレルギー性鼻炎】 鼻炎症状による眠気や集中力低下への直接的影響や、鼻づまりがOSAを悪化させた可能性も考えられます。就寝中に舌の付け根や上気道の周りの筋の緊張を低下させて上気道を狭め、OSAを悪化させます。高齢者は、加齢により筋力が低下しており、さらに体重増加や飲酒習慣が加わった場合は特に、OSAの危険性が高くなると考えられます。(3)事故発生に影響した可能性がある要因 次に、Aさんのケースで、OSAやそのほかの要因がそれぞれどのように眠気と事故発生に影響したと考えられるかを説明します。【OSA】  重度のOSAによる日常的な睡眠の障害が、日中の眠気や注意力の低下をもたらし、今回の事故発生に大きく影響していたと考えられます。加齢にともない、体重増加や飲酒習慣がOSAを悪化させたことや、夜間の覚醒や頻尿、朝の熟眠感の欠如がOSAにともなう症状であった可能性も考えられます。【慢性的な睡眠不足】 日中眠気を感じずに元気に活動できる睡眠時間が、その人にとっての適切な夜間の睡眠時間です。Aさんの睡眠習慣や休日の様子から、慢性的に睡眠不足であった可能性があります。日常生活において、コーヒー、紅茶などカフェインの摂取が眠気解消に有用な場合もありますが、今回の場合は、疲れや眠気の常態化とカフェインの多量摂取により、実際より疲れや眠気に鈍感になり、体調の悪さに気づきにくくなっていた可能性があります。

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