エルダー2017年11月号
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職場づくり職場づくり働ける職場づくりに職場づくり職場づくり働ける働けるで安全健康エルダー43(4)事例の転帰 AさんのOSAに対し、CシーパップPAP︵持続陽圧呼吸療法︶という治療が開始され、生活習慣改善にも取り組みました。その後、日中の強い眠気がなくなり、仕事中もよく集中できるようになり、以前より活動的に過ごせるようになりました。4高齢労働者と職場がとるべき対策(1︶労働者自身がとるべき対策【OSA対策】 まずは、自身の体調や生活に注意を向け、OSAが疑われる症状や体調変化に気づき、医療機関を受診することが大切です。OSAの診療は、循環器科や呼吸器科などの睡眠呼吸障害の専門外来や、睡眠専門のクリニックなどで行われています。OSAと診断された場合は、治療とともに、減量や節酒など生活習慣の改善も重要です。 また、自覚症状がなくてもOSAに罹り患かんしている可能性があります。個人や法人でOSAのスクリーニング検査を希望する場合、NPO法人睡眠健康研究所︵http://plaza.umin.ac.jp/sleep/︶などのOSA検診機関に検査を依頼することで、自宅で簡易な検査ができます。その結果から要精密検査、要治療との判定が出た場合、専門外来や専門のクリニックを受診することをおすすめします。【OSA以外の要因への対策】 睡眠を妨害し、日中の眠気に影響するOSA以外の要因への対策も重要です。睡眠時間は十分とれているかなど、睡眠習慣を含めた生活習慣全体を見直し、改善を心がけましょう。寝る前の1時間以内はテレビやパソコンを控える、日中は15分程度でも積極的に日光を浴びる、軽いウォーキングなどの運動習慣をつけるなどの工夫から始めてみてください。 また、さまざまな疾患のリスクを考え、可能であれば禁煙し、少なくとも、寝る前のタバコは避けましょう。ちなみに、昼食後に眠気が強くなるのは生理的な現象です。15時ごろまでの間に、1回15~30分程度の短い昼寝をとることは午後の眠気の改善に効果的です。しかし、それ以上眠ると、起きた後に頭がぼーっとすることや、睡眠のリズムに悪影響を与えることがあります。 また、アレルギー性鼻炎などがある場合、眠気を心配して薬を使用しない人もいますが、眠気を起こしにくい飲み薬や点鼻薬などもありますので、鼻炎がある人は耳鼻科を受診することをおすすめします。(2︶職場でとるべきOSA対策 人は加齢の影響により感覚機能や運動機能が低下するため、高齢者は若年者に比べ労働災害の発生率が高くなります。さらに、OSAによる眠気や集中力の低下が加わると、重大な事故のリスクがより一層高くなると予測されます。高齢労働者の働く職場では、このことに留意した対策が重要です。 もし、会社で働く高齢労働者がOSAに罹患し、それに気づかず未治療である場合、その労働者は眠気や集中力低下から作業効率が低下している可能性があります。また、さまざまな健康障害や、仕事中のミス・事故の発生リスクが高くなる可能性があります。それに対し、会社がOSAについてよく認識して対策をとり、労働者が適切な治療を受けられるようになると、労働者の健康障害、仕事中のミス・事故のリスクが低下するため、労働者にとっても、会社にとっても、大きな利益となります。このような考え方の会社の経営戦略を、﹁健康経営﹂といいます。 具体的にはまず、仕事中の居眠りやミスが目立つ、あるいは大きな事故を起こした労働者がいた場合、就労状況などを確認したうえで、OSAの可能性も考え、SAS︵睡眠時無呼吸症候群︶検診や医療機関の受診をすすめます。この際、産業医に相談し、協力を得ることも有効です。そして、労働者がOSAと診断され通院治療が必要となった場合には、定期受診日は就業時間を調整するなどの配慮を行えば、労働者が治療を継続する時間的余裕を確保することができます。また、症状の程度や仕事内容によっては、主治医や産業医の意見をもとに、治療により夜間の睡眠や日中の症状が改善するまでは、その労働者の仕事内容について配慮することも必要です。

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