エルダー2017年11月号
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えてきた会社です。社員一人ひとりがもともと使命感を持っている、それを知っているのだ、という自信のようなものを感じました。同社の場合は、面談のためのキャリア研修という位置づけですから、当然のことのように思えますが、一人ひとり異なる個人を扱う以上、キャリア研修には、もともと「個」の要素が必要です。ごく小さな会社であれば、研修を行うまでもなく、個人を見ることができますが、企業が大きくなるにつれ、それはむずかしくなる。「研修」というかたちの出番です。ただし、キャリアについて考える研修においては、「個」の対応の要素が不可欠であり、それこそが重要だ、と改めて感じた次第です。した。その後、勉強され、浅井さんは、現在、キャリアコンサルタント資格をお持ちですが、キャリアコンサルティングについて学んだことがおおいに役に立っているそうです。面談は、定着し、うまくいっている、といえそうですが、その理由について浅井さんは「ヒューマンリソース部とはいえ、人事権とは離れた部署にいるので、人事ではいえない本音のこともいえる。きれいごとでなく、その人のことを一緒に考えたためではないかと思う」と分析しています。「浅井さんだからできるのだろうか」ヒアリング後に、まず考えたことです。たしかに、だれでも浅井さんのようにできるものではありません。人間的魅力、馬力、それから、やり切るのだという「覚悟」、いろいろなものを感じましたが、それらにプラスして、「この会社のよさを知っている」という自信と、集団ではなく、一人ひとりを見ていることを感じました。NTTコミュニケーションズという企業は、NTTから分かれ出た企業のなかでも、ネットワーク関連や国際通信、法人相手のコンサルティングなど、ハイレベルの業務をになっています。電話の時代から、現在に至るまで、ネットワークをつくり、国を支え、社会を支ヒアリングを終えて5いいます。面談後、浅井さんは、かなり手をかけて、上司や人事担当者あてに、所感を書きます。面談対象者との約束もありますので、その約束を守りつつ、面談して気づいたこと(このようなところを伸ばしたらよいのではないか、このようなことに配慮するといいのではないか、など)について丁寧に記載します。浅井さんが、現在、1年間に面談する社員数は、200人から300人だそうです。大変な数ですが、面談によって8割の社員は「変わらなきゃ」という気持ちになってくれるそうです。「変わらなきゃ」となれば、自分でどんどん変わっていく。時間と労力はかかるが、それだけの手応えは感じるそうです。このように、いまでは、効果を実感しつつ、面談を行っていますが、初年度からそうだったわけではありません。浅井さんにしても、同年代ですから、面談中に、「なんでお前からそんなことをいわれなきゃいけないんだ」と食ってかかられるようなこともあったし、「何で忙しいのに面談に行かせなければいけないんだ」といった話を聞くこともあったそうです。そのため、初年度は、面談対象者である50歳で管理者でない社員に加えて、その上司とも面談することとなり、面談者数は500人に上りました。また、当初は、面談スキルもありませんで生涯現役を実現するための生涯現役を実現するためのキャリア開発支援エルダー47浅野浩美(あさの・ひろみ)1961年生まれ。一橋大学社会学部卒。筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻修了。厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室長などを経て、高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部長。「65歳超雇用推進マニュアル全体版」などを執筆。博士(システムズ・マネジメント)。※本稿の見解のうち意見に関する部分は筆者の個人的な意見であり、筆者の所属する組織の見解としてオーソライズされているものではありません。

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