エルダー2017年11月号
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エルダー63を調整しますが、同じ朱赤でも父と私とでは微妙に違います。竹かごには竹の表皮を除いたものを使いますが、線状の竹の繊維が漆の厚塗りで隠れないようにし、それでいて光沢感を出す、そこがむずかしい。漆うるし刷ば毛けを使ってひと塗りでムラなく仕上げ、竹の風ふう合あいを残します。温度や湿度によっては塗料の濃淡の調整も変わります。私の場合、父について全工程の微妙な技術まで身につけるのに8年ほどかかりました」製品は61頁の写真の右にある朱赤の平ひら型がたのつづらや写真左の内部が二段式になった黒塗りの掛かけ子ご付きが代表的だが色は三種、サイズの大中小や価格は同店のホームページを参照していただきたい。お客さまにとっては一生ものの品、作業は抜かりなく丁寧に「お客さまのご注文に応じてつくっておりますが、現在は納品まで2カ月ほどお待ちいただいています。同時進行で複数の製作をしているのですが、仕上げに抜かりのないよう丁寧につくっておりますので、そこはやむをえません。お使いいただく方にとっては一生ものの品。それを忘れないように代々、つくり続けてきました」技能伝承については、つぎのように語る。「40代のサラリーマンの方が週に一度、習いに通ってこられて、もう7年になります。その熱意には感心させられます。この技術が私で途絶えることはないでしょう」35年前の自らの転身を思い返しながらの穏やかな口調であった。岩井つづら店TEL:03(3668)6058E︲mail:info@tsudura.comhttp://www.tsudura.com(撮影・福田栄夫/取材・吉田孝一)書道をたしなむという母親の道子さん(左・94歳)は仕上げの文字入れや家紋入れなどを担当塗り終えた半製品を天井の釘に掛けて乾燥させる甘酒横丁の通りに面した「岩井つづら店」注文に応じて家紋は型紙を使って入れる漆刷毛と漆うるし壺つぼと貼った和紙を圧する竹製の櫛くしこの竹かごに紙を貼り櫛で圧して竹の目を出す

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