エルダー2017年12月号
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2017.128(7頁)※2  社内にメッセンジャーを任命し、机の横などに所定の袋などをつるし、書類、手紙などを入れておくと、定期巡回するメッセンジャーが届けてくれる(郵便物は出しておいてくれる)制度「働き方改革」でもテレワークが推奨されるようになりました。大企業を中心に、多くの社員に、無制限に、テレワークを認めるといった例も出ています。長らく腰の重かった役所にさえ、テレワーク勤務が入りはじめました。普及上の課題3 とはいえ、2020年までに10%以上を週1日以上のテレワーク利用者にするという政府方針に対し、まだ経験者は雇用者全体の8・2%、導入企業数も13・3%にすぎません(総務省「通信利用動向調査」2016年)。別の調査でも、勤務先に制度があるのは雇用者全体の14・2%です(国土交通省「テレワーク人口実態調査」2016年)。 普及の足かせの第一は、長年の通勤型・相対型の業務処理習慣です。通勤し膝突き合わせ、顔色をみて、空気を読んで働くことに慣れ、その強みを多くの人が評価しているからでしょう。ですから、在宅勤務で働きたいか「わからない」が42・4%、「働きたいと思わない」も30・3%います。また、後者のうち41・0%は「今の働き方で問題ない」と答えています。(連合総合生活開発研究所「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」2017年)。第二に、現在もテレワークの理解が進んでいないことがあります。前述の国交省調査によると、テレワークを「知っていた」人は2割以下(18・5%)でした。テレワークを一度でも経験すると、生産性が上がり、ストレスが少なく、家族との時間もとりやすいなどのよさを理解し、継続を希望する人が大部分ですが、経験していない人は従来型の発想からなかなか離れられません。 テレワークはあくまでも働き方の一種にすぎず、万能の打ち出の小づちではないですが、柔軟な働き方が必要だったり、よりパフォーマンスが上がる人には向いています。無理強いすべきではなく、テレワークするもよし、しないもよしという対応が望まれます。高齢者テレワーク4 高齢者の場合、Uターンなどを望んだり、通勤が辛くなったりする一方、長年の職業経験から業務分担を個人でしっかりとこなせる知識と技術のある人が大勢います。 かつては、高齢者は情報通信技術(ICT)の利用が得意でないと思われていましたが、いまや多くの人がパソコンなどを操作しています。前述の総務省調査では、2001年にインターネット利用者が5・8%しかいなかった70〜79歳層も、2016年には53・6%が使うようになりました(60〜69歳層では75・7%に達する)。巣立ったあとの子ども部屋を自分の仕事部屋に転換するなどできれば、初期投資もほとんどいりません。ネット上に仮想個人ネット(VPN)を設け、パスワード管理すれば、セキュリティも相当高くなります。 60代前半までは主として出勤型で勤務するにしても、60代後半から70代にかけては在宅型テレワークができるようになれば、就業する側も企業側も、ともに助かることが多くあります。地域に足場をおきながら、テレワークで仕事の世界ともつながれば、究極のワーク・ライフ・バランスといえるかもしれません。 テレワークといえば、「都会の企業が地方にいる人を活用する手段」という発想が多いですが、逆に高度人材や専門人材の不足に困っている地方の企業が、都会に住んでいるその種の高齢人材をテレワークで活用する方策も十分に考えられます。人生100年時代はまだ先のこととしても、人生90年時代はやってきていますから、年金問題への対応といった視点からだけでなく、社会とつながり、社会に寄与することの重要性にもかんがみ、生きがい就業を現実化する方法として、高齢者テレワークはもっと推奨されてもよいと思っています。

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