エルダー2017年12月号
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特集エルダー27テレワークが創る多様な働き方在宅勤務などテレワークによる生産性の動向については「定量的に検証できる数字はありません。というのも私どもの仕事は受託業務なので、年度によって波があり、テレワークによって生産性が向上したといい切ることはできません。むしろ、景気の動向による影響のほうが大きいでしょう。しかし、テレワークに特段のデメリットがなく、育児をしている女性の利用率が高くなっていることを考えますと、安定した経営ができているのは目に見えないところで社員の生産性の向上につながっていると思っています」と、新田部長はテレワークと生産性の関係についての見解を示した。一方で、心がけていることは、「社員間のコミュニケーションの風通しをよくすること」であるという。「当社は個々の社員が特定の机を持たないフリーアドレス制をとっており、隣に座る人は一定していません。そのようなこともあり、社員間の良好なコミュニケーションを保つために会社がさまざまなイベントの開催を呼びかけ、社員が自主的に企画して実施しています。家族の職場見学会や他社の職場見学、運動会、花見のほかサークル活動が活発に行われています。声かけは全員に行っており、イベントには派遣社員や社員の家族も参加できます。交通費や入場料はもちろんですが、交通の便が悪とが背景にあるようだ。なお、社員ではないが同社から委託を受けて仕事をしている特別研究員もいる。「特別研究員は数人います。今後、当社の定年後の再雇用を終えた人がこうした働き方をすることも推奨しています」と新田部長は、再雇用後のシニアの活用についての検討課題を語った。同社の定年年齢は60歳で、現在65歳までの再雇用を行っている。再雇用は1年ごとの契約で、再雇用者も在宅勤務の対象である。社員との信頼関係が必要社内のコミュニケーションを醸成新田部長は、会社と働く人の双方に信頼関係がなければ、テレワークの実施は困難だと指摘する。同社の場合、在宅勤務に関してトラブルは出ていない。「アンケートで社員の声を聞いていますが、不満は出ていません。仕事は自己申告がベースです。仕事をしているのか、あるいは働き過ぎていないかなどの不安があるわけですが、社内には良好なコミュニケーションがあるので、会社と社員が信頼し合ってやっていけているのだと思います。そのような関係を構築できないのであれば、テレワークの実施はむずかしいでしょう」。新田部長のテレワーク導入に対する見解だ。在宅勤務には当初、月8日間の上限を設けていたが10日間に拡大し、半日単位での在宅勤務も認めるようにあらためた。これは2015年7月に実施された施策で、在宅勤務をさらに使いやすくして利用率を上げようという会社の方針に基づくものである。しかし、10日間の在宅勤務をまるまる使う人はほとんどいない。顧客との打合せなどがあるため、土日を除けば月の就労日数のおよそ半分となる10日を在宅勤務とするのはむずかしいこ落ち着いた環境で在宅勤務をするシニア社員

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