エルダー2017年12月号
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2017.1238関係が生まれています」と井上社長は同社の現場の様子を語ります。現在、各部署を取り仕切るのは30代から50代で、体力を必要とする業務も若手が担当し、高齢従業員は技術や経験を伝えながら支え手として働いています。意欲と体力があるかぎり、生涯働ける職場環境が整いつつあります。役割を認識して若手を支えながら働く今回、定年後もいきいきと働いている高齢従業員のお2人に話を聞きました。千ち野の忠ただ廣ひろさん(68歳)は、主に工場機器の管理を担当して、週5日、午前8時から8時間勤務をしています。自動車販売会社勤務を経て、1996年に田内屋に入社し、当初は豆腐などの製造を担当しましたが、機械に詳しく、当時工場長だった井上社長が機械を整備するのをしばしば手伝っていたそうです。そうしたことから、入社半年後には、毎日の機械の洗浄から、点検・補修、必要な部品の発注などを担当するようになりました。千野さんは、「午前はおからを飼し料りょうにするための計量などの作業を行い、午後からその日の製造を終えた機械のパイプラインの洗浄を始めます。洗浄作業は3時間ほどかかります。機械の仕組みがわかればむずかしい作業ではないのですが、熱ど、いまもお世話になっており、感謝しています」と語ります。ベテランと若手が協調する職場同社では手づくりの味を守りながら、1989(平成元)年に現在の工場を新設し、それから徐々に機械による製造も拡大。同時に、若手従業員を採用して従業員を増やしてきました。「機械化といっても、手づくりの感覚を機械製造に活かすことを追求し、手づくり一筋でやってきたベテランが若手従業員に技術の継承に励みました。田内屋の味をつくり続けるため、一丸となって取り組むうちに、ベテランと若手が融合する社風が芽生え、現在も続いています」と井上社長。また、井上社長が父である先代から同社を任されたのが2004年、先代が62歳、井上社長が33歳のときのことで、「父はまだまだ現役でいられる年齢でしたが、現場を私に任せることで育てていこうと考えたようです。その後は、そばで支えてくれる存在でした。このことに倣ならい、若手従業員に早くから技術を伝え、責任ある仕事を任せて、ベテランには支えてもらう組織づくりを進めてきました。若手従業員はがんばって仕事を覚えて、責任感を持って作業を行い、部署をまとめています。そうした若手をベテランが支えて、いい信頼く、周囲に目を配り、若手従業員を気遣うなど、職場の和をつくる点でも力になっています」と働きぶりを評価します。今釜アドバイザーは、2014年に同社の担当を引き継ぎ初訪問。同社より当機構の企業診断システム(職場改善)の要請があり、診断結果の報告と改善点の確認、アドバイスを行いました。「熟練の技術を持つ高齢者は同社に欠かせないとのことから、高齢従業員にとって働きやすい職場となるよう、診断結果をふまえて、職場環境全体の改善を助言しました」と今釜アドバイザー。具体的には、工場内の蒸気や油ゆ煙えんを排気し室内温度を下げる換気扇、スポットクーラーの増設、視力の落ちた高齢従業員でも作業をしやすいようにLED照明への切替えなどを提案しました。井上社長は、「企業診断システムでは、課題と感じていたことについて、具体的な助言をいただきました。できることから改善に取り組み、まずは照明をLEDに替えました。今釜アドバイザーには、高齢者雇用に関する助成金のこともわかりやすく教えていただくな井上雄太代表取締役

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