エルダー2017年12月号
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2017.1242るケースはまれで、8~9割は原因が定かでありません。そして近年特に注目されているのは、「心理社会的な要因がかなり関係しているのではないか」、ということです。職場内の上司や同僚との人間関係がぎくしゃくしていて心が休まらない、仕事にやりがいがない、などの心理的な要因は、腰痛発症に大きく関係しているといわれています。3腰痛の発生件数の推移 腰痛は業種を超えていろいろな場面で発症するものですが、特に発症件数が多い製造業や建設業などでは対策が進んだ結果、図表4にあるように20年ほど前に比べると半分ほどに減少している一方、最近では保健衛生業など第3次産業での発症が著しく多くなっています。病院や老人保健施設などの看護師、介護士など、人を対象にした職種で対策が遅れていることを示しています。そこで行政ではそれらを含む第3次産業での腰痛予防対策を主要な施策として取り組んでいます。ちなみに全産業の業務上疾病は7361件、そのうち「災害性腰痛」は約60%以上を占めています(厚生労働省平成28年業務上疾病発生状況等調査)。介護施設や飲食店などの現場では高齢労働者が仕事にたずさわっていることも多く、注意が必要です。4腰痛予防 さて、肝心の腰痛予防について考えていきましょう。腰痛予防には二つの側面があり、一つは働く環境の改善、もう一つは仕事の仕方の改善です。【働く環境の改善】 2腰痛の原因で述べた環境要因を、一つひとつ改善していくことが必要です。低温環境では暖房や防寒衣などが必要ですし、照度不足はつまずきなどの原因になるため、適切な明るさの照明が必要です。作業床は段差をなくし、凸凹を修正し、弾力のある床材に替えます。空間が狭いと腰に負担がかかることもあるので、整理整頓は基本的なことです。まの85~90%は医学的に原因が特定できないといわれています。つまり職業性の腰痛はいろいろな原因が複合して発症しているものと思われ、それらを以下のようにわけて話を進めます。【動作要因】 これはよく理解しやすい要因です。何かの動作をする際、腰部への負担が過重であると発症するケースです。統計的には経験10年以上の労働者にも腰痛発症割合が高いのは高齢に差しかかっていることも原因の一つであることと、〝慣れ〟で不自然な作業姿勢をとってしまうこともあるでしょう。【環境要因】 気温が低いと、血液循環が悪くなるため腰痛が発症しやすいものです。また、作業をする場が狭く照度不足だと、無理な姿勢をとる要因にもなるので、腰痛発症の原因になります。また床が滑りやすかったり凸凹があったりすると腰部に負担を強いるため、危険因子になります。【個人的要因】 最大の要因は、やはり年齢です。加齢にともなった体力、筋力の衰えから腰痛が発症しやすく、高齢労働者はリスクを内包していると思われます。またそれに付随して、睡眠不足や夜間勤務なども関係してきます。【心理社会的要因】 前述のように腰痛で原因がはっきりしてい〔年〕1,6001,4001,2001,000800600400200※労働者死傷病報告による平成6〔件〕平成8平成10平成12平成14平成16平成18平成20平成22平成240保健衛生業製造業運輸交通業建設業図表4 業種別腰痛発生件数の推移

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