エルダー2017年12月号
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職場づくり職場づくり働ける職場づくりに職場づくり職場づくり働ける働けるで安全健康エルダー43た設備の配置も、腰に負担のかからない高さや位置に工夫する必要があります。運転業務では長時間の運転を避けるような労務管理をし、運転席が腰、背中を安定して支えられるよう角度を調節できるような構造になっていることが必要です。 また、休憩設備などを整備するのも重要です。前述のように腰痛の原因には心理社会的な要因がかなりの程度を占めていることから、休憩の取り方、休憩室の整備などが大切です。簡単な運動用具、マッサージチェアなども用意されていると理想でしょう。 高齢労働者は視力、聴力の衰えなどにより環境適応能力の低下は避けられませんので、それをカバーするための環境整備が重要です。【仕事の仕方の改善】 自動化・省力化を図って腰の負担を軽減し、道具・ツールを活用することは基本的なことです。また、扱う重量の制限を設定し、荷を運ぶ際の姿勢をととのえ、余分な負担をなくすことが必要です。 人的な面からは、作業姿勢や動作に留意し、腰に負担がかからないような姿勢をとるのは当然ですが、以上のことを常に実施できるようにするためには作業の実施体制や作業標準マニュアルを整備することが、管理者サイドの重要なテーマです。特に高齢者を雇用している事業所ではそのことを意識して、さまざまな対策をとることが必要です。 人力での持上げの際の重量は男性の場合、体重の40%以下、女性は男性の60%以下とするようにしましょう(厚生労働省 職場における腰痛予防対策指針)。例えば体重60㎏の男性の場合は24㎏以下、女性はその60%(14・4㎏)以下となります。ただ高齢労働者の場合はこの基準よりさらに低く設定するか、そもそも強い筋力を要する作業を少なくすることが求められます。♷健康管理 腰痛は検査などではっきりとした異常を数値で示すことがむずかしい疾患なので、総合的できめ細かな健康管理が必要です。適正配置、腰痛者に対する措置、健康相談、指導、教育、健康づくりを実行する際には、その前提として腰痛健康診断を実施することが望まれます(図表5)。腰痛健康診断を実施したのち、産業医あるいは担当の医師の指示にしたがった事後措置を実施します。治療的な対応はその指示にしたがうとして、大事なことは日々の生活を健康に過ごせるよう整えることです。腰痛予防に関していえば、①十分な睡眠、入浴による保温、自宅でのストレッチング、②喫煙は末梢血管を収縮させ、椎間板の代謝を低下させるので禁煙を図る、③負担にならない程度の全身運動で腰痛のリスクを低減させる、④疲労回復や老化防止になるバランスのとれた食事をとる、⑤休日には疲労が蓄積するようなことを避け、疲労回復や気分転換を図る、などといったことが重要です。腰部負担作業の前後に腰痛予防のためのストレッチングをすることは、腰痛予防に効果的ですのでぜひ取り入れてください。また、より積極的に腰部を支える筋肉を鍛えるためのエクササイズもよいでしょう。 腰痛は非常にポピュラーな疾病で、多くの人が生涯に少なくとも一回は経験するといえます。その意味では、予防対策を立てることには大きな意義があります。本稿が高齢労働者の働く場面で少しでも参考になれば幸いです。図表5 腰痛健康診断◦医師の判断により実施する項目腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事している重量物取扱い作業者や看護師・介護士などに対して、配置前とその後6カ月以内ごとに1回定期に実施する(指導勧奨による健康診断)。配置前健康診断定期健康診断(雇入れ時・配置替え時)(6カ月ごとに1回)⃝既往歴・業務歴の調査⃝既往歴・業務歴の調査⃝自覚症状の有無の検査⃝自覚症状の有無の検査⃝脊柱の検査◦脊柱の検査⃝神経学的検査◦神経学的検査⃝脊柱機能検査◦画像診断・運動機能テスト◦画像診断・運動機能テストなどなど⃝必ず行う項目

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