エルダー2017年12月号
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エルダー592017.12 December ニュース ファイル 「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」を開催当機構から当機構は、10月の「高年齢者雇用支援月間」に、各都道府県の支部が中心となって「地域ワークショップ」を開催した(一部は11月に開催)。同ワークショップは、生涯現役社会の実現に向けて、企業が理解を深めることを目的とし、高齢者雇用に関する基調講演、高齢者雇用に先進的な企業の事例発表、パネルディスカッションなどで構成される。今回は、10月11日(水)に当機構東京支部が主催した、「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ2017」の模様をレポートする。まず、今いま野の浩一郎学習院大学名誉教授が、「高齢社員の人事管理」と題した基調講演を行い、増加する高齢社員をどう活用するか、現役世代はどう高齢期を視野に入れて働くかといった、高齢社員を戦力化する仕組み、活躍できる働き方の構築について解説した。今野名誉教授は、現状の高齢社員の人事管理をふまえて配慮すべき点として、高齢社員は「いまの能力をいま活用して、いま払う」短期雇用を前提とした人材であることを指パネルディスカッションでは、先進企業3社が登壇した摘したほか、残業なし、転勤なしなど、時間・場所に制約のある「制約社員」型へと転換すべきだと説いた。高齢社員の活用の方法としては、業務上の人材ニーズの明確化と、ニーズを満たす高齢社員の確保・配置が必要であるとし、処遇は仕事ベースの短期雇用型賃金が合理的で、時間・場所などの制約分を減額するリスクプレミアム手当※を適用すべきだと話した。また、課題は高齢社員の納得性の確保であると述べ、人事管理と賃金が変化する合理的な説明をすることが重要であるとした。最後に、高齢社員に求めることとして、長期のキャリアビジョンの転換と働く意識・行動、能力の再構成をあげ、講演を締めくくった。その後、先進企業による事例発表が続き、プログラムの後半は、今野名誉教授のコーディネートのもと、高齢社員が活躍する3社の担当者が「高齢者雇用企業に学ぶ高齢従業員戦力化のヒント」をテーマに、パネルディスカッションを行った。はじめに登壇したのは、2017(平成29)年度の高年齢者雇用開発コンテストで、厚生労働大臣表彰優秀賞を受賞した七なな欧おう通信興業株式会社の関藤ふじ好よし代表取締役。国内外での通信工事の施工、メンテナンス、工事設計の事業を行っている。同社では工事内容の高度化・多様化により、技術者の確保が重要な課題となっており、高齢者雇用開発に取り組んでいる。関社長は、今野名誉教授から高齢社員の処遇について問われると、「定年前後の職務内容の比較を実施し、仕事に応じた賃金を決定している」と説明。さらに「面談による双方向コミュニケーションをベースに、その人の強みと弱みを互いに認識し、納得したうえで仕事配分と賃金を決めている」と話した。続いて、大手飲料品メーカーのサントリーホールディングス株式会社から竹たけ舛ます啓介人事部課長が登壇した。同社は2013年に人事制度改定の一環として65歳に定年を引き上げた。60歳以降は60歳時点の職務資格に基づき3段階の新資格へ移行する。年収水準は60歳時点の6〜7割程度である。これに対して今野名誉教授から、60歳以降の人事管理と賃金の変化における納得性について質問がなされ、竹舛課長は「50歳ごろからキャリア・ライフサポートを実施して、ライフプランをつくってもらっている。賃金の低下については早期の情報提供でカバーしている」と答えた。最後に外食産業の大手である株式会社すかいらーくの高橋真一郎人財本部人財企画・運用グループ政策・制度チームリーダーが登壇した。同社は2015年に65歳定年引上げを行い、月例給与と賞与、昇給・昇格を60歳以前と同様とした。なお、同社では職務給制をとっており、60歳以降も適用される。この点について今野名誉教授から高齢社員の反応について聞かれ、高橋チームリーダーは「以前の体制では、評価も昇給もなく、給与は固定給だった。制度変更後は65歳以上でも昇給があるため、高齢社員からやりがい・働きがいを感じるという声を聞いている」と話した。最後に今野名誉教授が「高齢者に活躍してもらうためには、キャリア、働き方を見直す仕組みをいつ、どうつくっていくかが重要だ」とまとめ、ワークショップを締めくくった。※ リスクプレミアム手当……時間・場所などの制約リスクの有無を金額に反映させる手当

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