エルダー2017年12月号
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特集エルダー7テレワークが創る多様な働き方※1  米国の学者、アルビン・トフラーの著書。このなかで著者は、人類の大きな変革の波として、第一に農業革命、第二に産業革命の波があり、これから第三の波として情報革命による脱産業社会(情報化社会)が来ると唱えた法政大学名誉教授 諏す訪わ康雄高齢者こそテレワークを!巻頭言テレワークとの出会い1      1980年代前半、テレワークとのつき合いがはじまりました。アルビン・トフラーの『第三の波』 ※1をゼミで読み、学生と在宅勤務の実態調査を試みたのでした。それから3分の1世紀以上が過ぎました。当初は「何ですか、それ?」といぶかしがられたものが、いまや実践的な働き方となりつつあります。実践といえば、研究や教育準備の大部分をずっと自宅書斎で対処してきた私も、パソコン、ファクス、コピー機、携帯電話などの導入をしていますから、テレワーカーの1人です。意識せずとも、長年にわたり調査研究と実践の双方を行ってきたわけです。普及の遅れと最近の進展2 当時から、米国、カナダ、豪州、北欧などの則も十分に整備されていなかった(フレックスタイムでさえ制度化されていなかった)わけでしたから、どこを見てもテレワーク導入の障害だらけでした。 その後、③は電子メールが代替し、④住宅の多くも以前よりは広くなり、⑤ノートパソコンなどが安価となり(携行でき、狭い場所でも仕事が可能となり)、⑥携帯電話・スマートフォン・インターネットによりどこでも連絡が可能となり、⑦宅配便で短時日のうちに書類のやり取りなどが容易となり、⑧書類や資料のデジタル化も進み、⑨法制度などの対応も少しずつ変わってきました。残る相違は、①人口分散と②専門職化・個人分担化ですが、①では高齢者雇用が進み、Uターンもあって通勤困難な人が増え、②の守備範囲明確化の動きも時代の流れです。 そこに、少子高齢化を背景に、人手不足を追い風とする、女性、高齢者、障害者の活躍推進といった政策や現場の工夫が重なって、政府のテレワーク先進国を調べると、①広い国土に人口が分散、②専門職化など個人の守備範囲が明確、③電子メール以前も社内メッセンジャー ※2制度が機能している、などといった共通要素に気づきました。 一方日本は、①狭い国土に人口が密集、②課や班といった職場単位で相互に補完する集団対応。そして、③社内メッセンジャー制もまずありません。社員は日々職場に出勤し、顔を合わせ、臨機応変に仕事を分担し、膝ひざ突き合わせた相あい対たいで問題を処理するといった流儀なので、およそ在宅勤務などは考えられない状況でした。 しかも当初、④家が狭くて仕事場所を確保することがむずかしい、⑤パソコンは高価で普及していない、⑥携帯電話やインターネットも普及以前だし市外電話代もひどく高い、⑦宅配便やバイク便なども利用するのに手間がかかり、配達までに時間がかかっていた、⑧業務書類などもデジタル化していない、⑨労働法や就業規

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