エルダー2018年3月号
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特集エルダー1565歳超雇用推進事例集&マニュアル(その2)ほとんどいないという。また、訪問して受けた印象だが、会う人会う人の表情が和やかで社内の雰囲気のよさが表れているように感じられた。熟練者の技をプログラム化し、生産工程を自動化することに高齢従業員を含む全員が対応できた背景には、従業員と経営陣の間に信頼関係が構築されていることや、社内の風通しのよさもあげられるのではないだろうか。若手に働く姿をみせながら機械から学べないことを伝える3人の男性従業員からお話をうかがった。本もと橋はし博ひろしさん(68歳)は、入社して10年。以前は包装資材を扱う企業に勤めていたが、合併にともなう事業所移転により通勤がむずかしくなったため、住まいと同じ川口市にある辻井製作所に転職。鋳物製造の最終工程となる塗装や錆さび止めなどを吹きつける作業を定年前から担当している。現在、働き方も定年前と変わらず、8時から17時までのフルタイムで働いている。「心がけているのは、当たり前のことですが責任を持って作業を遂行すること、それから、大型の製品はクレーンで移動させるのでその作業にも注意を払っています。入社当初、8歳ほど年上の先輩に仕事を教わりました。親切にしてもらいましたし、全体的に雰囲気がよい会社で働きやすいです。いま、65歳を過ぎても同じ会社で働き続けていられることを幸せに感じます。健康に気をつけて、身体が健康なうちは働いていたいです」と本橋さんは笑顔で話す。江え田だ米よね作さくさん(76歳)は1957年に鋳物メーカーに就職して以来、鋳物師ひと筋の道を歩んできた。勤務先の閉鎖により、辻井製作所に入社して28年になる。定年前まで造型部門の課長を務め、現在も造型を担当してフルタイムで働いている。また、「指導員」として若手の育成にも注力している。「コンピューターによる鋳物製造は、この会社に来て初めて経験したことでしたが、何とか対応できました。機械化により作業が楽になり、よかったと感じています」と江田さん。造型は、基となる型に砂を詰め、型を抜き取ることで砂型をつくる作業。最も気を配るのは、「不良品をつくらないこと」と話す。指導員としては「初めて入った注文の作業を開始するときや、久しぶりに行う作業のときに指導します。これまでの経験を活かし、大事な点などを伝えながら進めます。教えていると、質問を受けてあらためて考えたりすることもあり、刺激を受けます」と穏やかな表情で話す。定年を迎えたときの心境や、今後については次のように語る。「年上の先輩が現役で仕事をしていましたから、定年で辞めるという思いはまったくなく、それから一年一年やってきて現在に至っています。何歳まで続けるか、まだ考えていませんが、仕事がつらいなと感じたときが退職の時期でしょう。おかげさまでいまは仕事を続けられているから健康でいるのだと思います。会社に来てみんなとしゃべるのも楽しいんです。ここで塗装作業を担当する本橋博さん指導員として若手の指導にも活躍する江田米作さん

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