エルダー2018年3月号
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2018.316鋳物づくりを続けてきてよかったと思います」かつて80代の「指導員」から仕事を教わった海え老び根ね亮りょうさん(29歳)も取材に応じてくれた。海老根さんは25歳で入社し、造型の「型かた被かぶせ」という作業部門に所属。上下の型をあわせて鋳型を組み立てる作業を行っている。海老根さんは次のように話してくれた。「入社して1年ほど、80代の指導員から指導を受け、育ててもらいました。その後退職されてしまったので、むずかしい作業をするときなどに思い出し、あのときどういう指示を出してくれただろうと指導を受けたときを振り返ることがあります。製造作業は機械化されているのですが、当社で手がけている製品は重さが何tもある大型のものが多く、それらの製造をより安全に早く進めるにはどういう順序や工程を組むのがよいのか、あるいはどういう配置にすれば次の作業が進めやすいか、最善の方法をとることがとても大事で、そういうことは経験豊富な先輩の判断が的確です。ベテランの先輩から教わることができたのはとても貴重なことでした。将来いくつまで働いていたいかはまだ先のことなので考えたことはないのですが、70代、80代の先輩方の働く姿は目標になります。そうなれるようにがんばりたいです」仕事を続けながら人生を楽しんでほしい辻井社長に、高齢従業員の方へ期待することをたずねると、「仕事をしながら人生を楽しんでもらえたら何よりです。70歳を過ぎてから、自分の孫ほどの年齢の若手に仕事を教えることを『うれしい』と話してくれる従業員がいて、私もうれしくなります」と返ってきた。高齢従業員の存在は仕事面だけでなく、若い人の精神面の支えにもなっていると感じているが、同時に、そうした役割をになうことが高齢従業員の元気を引き出しているとも感じているようだ。同社では、健康診断を年2回実施して従業員の健康確保に努めている。毎月第3水曜日には産業医に来社してもらい、健康診断結果をもとに産業医から必要に応じて従業員に個別の健康指導をしてもらったり、何かあれば従業員から産業医に相談することを奨励している。また、毎日の朝礼では全従業員が何かひと言を必ず話すことにしている。そのあと体操をして、辻井社長はその様子や表情を見て、従業員一人ひとりの体調を気遣っているという。社訓である「基本を守り世界に誇れる製品を作ります。」には、さまざまな活動において従来のイメージにとらわれず、より高い目標を掲げて挑戦を続けていくという意味がこめられているという。文字通り生涯現役で活躍できる職場を実現した同社の次の挑戦も注目される。社屋に掲げられた社訓機械による作業だけではカバーしきれない作業のポイントを大ベテランから教わったと話してくれた海老根亮さん

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